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2015年4月ファクトリービジネス研究会より、全国の市況と主な取り組み

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先週の4月24日金曜日、船井総研東京本社にてファクトリービジネス研究会 機械工具商社経営部会が開催されました。

↓↓↓研究会の様子

https://factory-business.com/blog/1090/

全国から熱心な機械工具商社経営者の皆様が、お集まりになられましたが、現状の市況と主な取り組みしては下記の様な感じでした。

 

(1)この4月以降は市況が低調

エリアによる差は多少あるものの、この4月以降は市況が低調だ、との声が相次ぎました。昨年対比ではプラスになっているものの、昨年の4月は消費税増税の影響で大きく売上が落ちた月です。

そうした観点で、この4月については昨年対比があまり意味をもちません。

自動車産業が活況なエリアなど、一部のエリアの一部のユーザーは好調とのことでしたが、ご出席者の8割くらいの方は「この4月以降は市況が低調」との見解でした。

 

(2)期待はずれの省エネ補助金

平成26年度補正予算で総額930億円の省エネ補助金ですが、結局、大半の工作機械の補助金申請は通らないまま、予算切れでこの補助金は終了した模様です。

日本工作機械工業会が認定した省エネ案件は、8900件強あったそうですが、そのうち省エネ補助金で認定を受けた案件は15件足らずだったといいます。

多くの工作機械案件において、審査が緩いという理由で「ものづくり補助金」から「省エネ補助金」に流れましたが、結局期待はずれに終わった様です。

 

(3)ミスミVONAの攻勢

ミスミVONAが非常に攻勢をかけてきています。高付加価値・高単価なテクニカル品も、販売店が一般ユーザーに仕切るレベルの価格帯でネット上にて提示されています。

またミスミVONAのナショナルブランド品カタログは、MROにおけるトラスコ中山のオレンジブックと同じポジションを、機械要素・伝導機器分野において狙っているカタログであるといえます。

従来、機械工具のネット販売といえばMRO分野(消耗品・メンテナンス品・工具)がメインでした。ところが現在は、人的販売でしか売れないとされてきた機械要素・伝導機器などの高付加価値品にまで、ネット販売が侵食してきています。

従来のメーカー・問屋の構造からすると考えられない様な流通の変化が、生産財業界を揺るがしているといえます。

この背景には国内市場の縮小があります。

例えばファナックは毎月5000台ものロボドリルを生産しているといいますが大半が海外輸出で、国内向けはわずか300台だと聞きました。

いかに既存のルートで営業をかけても国内販売が伸びない、となればメーカーもなりふり構わず新たなチャネル、すなわちネット通販ルートに乗せざるを得ない、というところです。

メーカーにとって成長戦略は、「海外市場」あるいは国内であれば「ネット通販」といったところなのでしょう。

 

(4)成熟・衰退マーケットで成長するならM&A

今回の機械工具商社経営部会では特別ゲスト講師として、M&Aの仲介会社、株式会社ストライク 荒井社長様からご講演いただきました。

荒井社長によると、成長が見込めない成熟マーケット、あるいは衰退マーケットであっても、寡占化さえされていなければM&Aで成長が可能であるといいます。

確かにその通りです。

荒井社長によると、多くの中小企業が大企業を習って海外進出を図ろうとするけども、それが本当に正しいのか?それよりも寡占化されていないマーケットなのであれば、M&Aで成長を志向した方がよりリスクが少なく、シナジーもあるのではないか、とのお話でした。

国内生産は縮小傾向ではありますが、生産財業界も部品加工業界も寡占化とは無縁の、中小企業主体の業界です。

景気の良い今はM&Aもコストがかかるかもしれませんが、これから不況になり買収コストが下がると、よりM&Aも増えていくでしょう。

ちなみに日本国内のM&Aは、バブル経済真最中の1989年で年間645件でした。この年、三菱地所がアメリカ・ニューヨークのロックフェラーセンタービルを買収して、話題を呼びました。

そして、リーマン・ショック直前の2008年には年間2775件と20年間でM&A件数は4倍以上に増えます。

その後リーマン・ショックが発生してM&A件数は急減しますが、2014年には2285件まで回復しています。

まさに海外進出か、M&Aかといったブームであるといえます。

 

(5)採用サイトの重要性

今年は特に市況が良いため、中小企業の新卒採用は各社苦戦を強いられている様です。しかしそうした中でも採用に成功している会社の共通点は、専用の採用サイトを開設している、という点です。

以前このレポートで、「営業担当者と会った時点で、顧客の購買プロセスは57%が決定している」という話をお伝えしました。

採用についても同じことです。

学生がその会社を受けに来た時点で、学生のその会社へのイメージはほぼ固まっていると考えた方が良いでしょう。ですから採用サイトが重要なのです。

例えば優良大手企業がひしめく中部エリアにおいて、従業員23名の機械工具商社某社は、大学新卒4名をこの春に獲得することができました。「4名の採用でも採用サイトがいるのですか!」と、そういうイメージを持たれている方もいましたが、今や中小企業が優秀な人材を獲得しようとすると、採用サイトは必須です。

採用サイトとは、入社後に自分がどうなるのか、具体的なイメージを湧かせるためのサイトです。具体的には若手社員の仕事を通しての体験談・ストーリーが主なコンテンツになります。

 

この様に、市況としては予断を許さないものがありますが、とはいえ未来に向けて何らかの投資を前向きに行っていかなければならない、そうした皆様の強い意志を感じることができました。

こうした意識の高い経営者様が集まる場は、非常に良い気付きを与えてくれると思います。

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