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ミニM&Aで「価値」を上げる経営戦略

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今、勢いのある会社の社長が考えていることに1つに、M&Aがあります。M&Aといえば“リスクがある”というイメージがありますが、実際に今多いのは、自社よりもずっと小さな会社を買うという、ミニM&Aです。

船井総研の場合も、昨年7月からホールディングス会社体制として、M&Aを加速する成長戦略をとっています。

例えば今年に入ってM&Aを行った会社は、従業員30名のコールセンター向けコンサルティングを行う会社です。

どんな会社でも「事業承継」は大きなテーマですが、コンサルティング会社の場合は、さらにこのテーマが重要になります。

なぜならコンサルティング会社の場合は、看板コンサルタントの知名度や人脈に依存する割合が大きく、一般の事業会社以上に事業承継が難しいのです。

数名で行っている様なコンサルティング会社であれば、店じまいを行うのも比較的容易かもしれません。しかし従業員が30名ともなってくると、簡単に店じまい、とはいきません。

その点、船井総研の場合は上場して20年以上が経過し、現在の社長も4代目ですから、企業を永続させていく仕組みは一応完成した、と見ることができると思います。ですから船井総研の様に、企業を永続させていく仕組みが整った組織体にグループ会社として参加し、その会社をより強化して永続させていくことは、社会的に見ても理にかなったことだと私は思います。

またグループで1000名近い従業員を抱える船井総研にとって、従業員30名のコンサルティング会社をM&Aすることは、それほど大きなリスクではありません。

むしろM&Aというよりも、少し規模の大きな“中途採用”と捉えることができるのではないでしょうか。

こうしたミニM&Aともいえるやり方で、自社の価値を上げ業績を伸ばしている会社が、神奈川県のプレス加工業 株式会社ニットー(従業員36名)です。

同社はここ10年で、3社の同業に近い零細製造業を、結果的にM&Aしてきました。

最初の1社目は、社長が急遽入院し、経営が立ち行かなくなった近所のプレス加工業でした。仕事は順調だし、何よりも残された社員が気の毒、ということでニットーが吸収合併することを決断しました。

さらに近所で溶接業を営んでいた町工場が会社をたたむと聞き、この会社もM&Aすることを決意。こうした噂を聞きつけた別の厚板加工業の社長から「実はウチも、私が60歳になったら会社をたたもうと思っていて、よかったら後を引き継がないか?」と声をかけられました。

こうして4社が1つの会社になった結果、この株式会社ニットーでは、「金型製作」から「試作」、さらには「量産」まで一貫した対応で付加価値を提供できる会社に生まれ変わることができました。

同社の戦略は次の3つです。

 

戦略1:設計段階からのVA・VE提案

同社は設計段階からVA・VE提案できることをホームページ上でも訴求しています。

↓↓↓同社のVA・VE提案事例

http://nitto-i.com/case/case_c.php

プレス加工業は量産ビジネスであり、かつ「金型」というイニシャルコストのかかるものを、まず顧客に買ってもらう必要があります。

ですから普通の営業では、中々新規開拓を行うことができません。

同社の場合はこうしたVA・VE提案を行うことにより、設計・開発段階から相談してもらえる会社を目指すことで、「価格競争に陥らない」新規開拓を推進しています。

 

戦略2:一貫対応による価格競争の回避

前述の通り、「試作」から「金型製作」さらに「量産」まで対応できることは、価格競争を回避する上で、さらに新規開拓を行う上でかなりプラスに働きます。

今回、ニットー 藤澤社長に特別インタビューを行いました。

そのインタビューの中でも、藤澤社長は「金型まで内製することで、金型代を安く見積り、その分を製品代に少しずつ乗せて仕事を取ることができる」「設計費は見積りに乗せず、すこしずつ製品代に乗せることで安く見せる」というお話もされていました。

ニットー 藤澤社長への特別インタビューの様子は、下記よりご覧いただくことができます。

↓↓↓ニットー 藤澤社長への特別インタビュー

http://youtu.be/Jtw5S2hEmM8

※ 本インタビューは、取材先での収録という関係上、多少の雑音が入っていることを、ご容赦ください。

 

戦略3:特定顧客・特定業界に依存しない

同社の取引先は100社を超え、特定顧客はもちろん、特定業界に依存しない基盤を築き上げています。

その秘訣は同社の徹底したメディア戦略にあります。

同社はアイフォンのオリジナルケースなど、自社の技術を活用してBtoC向けのオリジナル商品を、いくつかつくっています。

その目的は、そのオリジナル商品をメディアで取り上げてもらうことにより、自社の知名度をアップさせるところにあります。

“絶対に緩まないネジ”で有名なハードロック工業の場合も、社内のSLを全面に出したメディア戦略で露出度を上げていました。

広告費に多額の予算を避けない中小企業にとって、知名度を上げるためのメディア戦略は必須であるといえるでしょう。

 

自社の基盤を固めるためには「新卒採用」、そして新たな技術を取り入れるためには「中途採用」が有効だとよく言われます。

その点ミニM&Aは、少しおおがかりな「中途採用」の延長、とも考えることができます。

そしてあらゆる業種において、現在の成熟期を勝ち残るためには、単なる規模の追及ではなく、「サプライチェーンの統合」という形での「価値」を追求していくことが必須になっています。

そうした手段の1つとして、ミニM&Aも考えていく必要があるでしょう。

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[プレス加工業向けセミナーのご案内]

前述の株式会社ニットー 藤澤社長をゲスト講師に、「プレス加工業 真の生産性アップセミナー」を、

2015年5月8日(金)13時~17時 船井総研 東京本社(丸の内)

にて開催を予定しています。

もちろん、私、片山 和也も本セミナーのメイン講師を務めます。

本セミナーの詳しいご案内をご希望の方は、下記メールアドレスまで資料ご請求のメールをご送付ください。

セミナー資料のご請求 →  kazuya_katayama@funaisoken.co.jp

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