ここ数年、船井総研のセミナーでは、原則としてゲスト講師を必ず立てることが、社内のルールとなっています。
その理由はセミナーの品質を上げるためです。
また、ゲスト講師は船井総研の関係先で成功事例の会社、あるいは何らかの分野で「日本トップクラス」の会社の経営者であることが、ゲスト講師の条件です。
例えば先月は、新規営業所を出店してわずか2ヶ月で、月次売上2000万円のベースをつくった機械工具商社(従業員25名)の社長様にご講演いただきました。
同社も元々、普通のルートセールスの保守的な機械工具商社でした。社長が「新規開拓しよう!」と掛け声をかけても社員は動きません。
そこで同社の社長は新卒採用に踏み切り、社内の活性化に取り組みました。新卒採用を継続すれば組織風土は活性化します。実際、同社は社員が「新規開拓をしなければ」と意識する、攻めの組織に変革することができました。
その結果、前述の様な成果に結びついたのです。
また同社は、この人材難の中でも確実に新卒社員を確保し、この4月には3人の新入社員が入社してきます。同社は従業員25名でありながら、“中小企業の新卒採用”において、日本トップクラスのノウハウを持っているといえます。
多くの中小企業の社長が、「今は人材が売り手市場で、大手に人をとられて中小に人が回ってこない」と嘆いています。しかし現実は、大手が採用するハイスペック人材と、中小企業を受けに来る人とでは、人の層が全く異なります。
大手に人を奪われているのではなく、同じ中小企業の中でも採用に熱心な会社に人を奪われているだけなのです。
また7月にゲスト講師をお願いしている部品加工業某社は、社員30名という典型的な町工場でありながら、受注も新規開拓も絶好調です。
先日も某財閥系大手重工メーカーから、新規取引の口座を開設してもらいました。大手企業、ましてや財閥系の大手重工メーカーなど、新規口座の取得はほぼ不可能、と思われています。
しかしマーケティングの進め方によって、一般的に不可能と思われていることでも、実際に可能になるのです。
また某社は大手エレクトロニクスメーカーから声をかけられ、1回目の訪問ですぐにNDA(秘密保持契約)を結ぶことになり、多くの見積り依頼をもらいました。
さらに別の大手電機メーカーからも「はやく来社してほしい」と矢の様に督促のメールがきています。
この部品加工業某社も、5年前までは営業部すらなく、新規開拓営業などやったことも無い会社でした。
こうした会社の実際の成功事例をお聞きいただき、「そうか、ウチもやる気になればできるんだ!」と、思っていただきたいのです。
ところが、こうした実際の成功事例をご紹介しても、中には「あの会社のエリアは市場があるからうまくいったのだ」「ウチのエリアでは、そうはいかない」あるいは「よその会社でうまくいったからといって、ウチの会社にそのまま取り入れるのは無理だ」と言われる経営者の方がおられます。
確かにその通りです。
BtoCビジネスであれば、A社でうまくいったことを、そのままB社に適用すれば、限りなく同じ様にうまくいきます。なぜならBtoCビジネスは“マス”のビジネスだからです。
ところがBtoBビジネスの場合は“ニッチ”のビジネスです。つまりC社でうまくいっていることを、そのままD社に適用しても必ずしもうまくいくとは限りません。
とはいえ、成功企業から学べることは多いはずです。
ロシアの文豪トルストイの代表作に、アンナ・カレーニナという小説があります。この小説は「幸福な家庭はどこも似通っているが、不幸な家庭はそれぞれの事情で不幸である」という一文で始まります。
企業経営も同じです。
うまくいっている会社というのは、どこも似通っています。社長も社員も一つの目標に対して一体化して、高いモチベーションで情熱をもって事業にあたっています。
そして問題のある会社は、それぞれの事情で問題を抱えています。社員が辞める、会社のお金を横領された、業績が振るわない、幹部がやる気が無い、様々です。
従って会社を伸ばすためには、会社をよりよくするためには、今勢いがある会社、成功している会社をできるだけ見て、聴いて、そこから取り入れられることを1つでも自社に取り入れることです。
また、私がいつもコンサルティングの際に申し上げることは、「自社が日本一を目指せる何かを見つけましょう」ということです。
例えば地域一番になりたいのであれば、日本一を目指さなければ地域一番にはなれません。
またどんなに小さな会社であったとしても、仮に社員が数名しかいない会社であっても、日本一を目指せる何かは必ず持っているものです。そして、その日本一を目指せる何かを見つけることができれば、その会社は必ず伸びます。
これを船井総研では「長所進展法」といっています。
ぜひ、日本トップクラスの事例にできるだけ触れていただきたいと思います。さらに、自社の日本一を目指せる何か を見つけていただきたいと思います。
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