毎年3月と11月の年2回、船井総研ファクトリービジネスグループでは、先端「町工場」視察セミナーを企画しています。
毎回、キャンセル待ちが出る人気で、今回の3月27日(金)に予定している同視察セミナーも、すでにキャンセル待ちとなっています。
↓↓↓先端「町工場」視察セミナーの詳細
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/515070.html
毎回特色のある、文字通り先端「町工場」を取り上げ、また同業の工場を見学できるという、貴重な機会が人気の秘密だと思います。
今回視察させていただく2社について、簡単にご紹介させていただきたいと思います。
【1社目】「場」を提供する町工場:株式会社浜野製作所
東京都墨田区に本社のある株式会社浜野製作所(従業員34名)は非常にユニークな町工場です。同社は板金加工業という、加工分野の中では技術的な差別化が難しい分野を専門としています。それにも関わらず、同社の従業員1人あたり売上高は業界水準の1.5倍以上であり、非常に高い生産性を誇ります。
そのカギは自ら積極的に「場(=コミュニティ)」を提供していることにあります。まず本社工場はいつでも工場見学大歓迎の「見せる」工場になっています。さらに多くの大学や公的機関と積極的に「産学官交流」にも取り組んでおり、30を超える様々な業界団体にも所属しています。
また同社は3Dプリンタやレーザー加工機など、最新加工機を設備した、ものづくり総合支援設備「Garage Sumida(ガレージ・スミダ)」を運営。設計開発者が集い、自分のイメージを形にできるサロン的な「場」を提供しています。
こうした「場」を提供することで、極めて高いロイヤリティを持つ顧客をつくることができます。
例えば昨年、アメリカグレートカンパニー視察セミナーで見学したウェグマンズフードマーケット(食品スーパー)では、店内で惣菜を購入したお客様に清潔で大きなフードコートを提供し、地域のコミュニティ・公民館的な役割を担っていました。そうすることで、その地域で無くてはならない存在となり、極めてロイヤリティの高い固定客をつかんでいました。
浜野製作所が提供する「ガレージ・スミダ」も同じことです。自社がどの様な「場」が提供でき、どの様なコミュニティがつくれるかを考えてみることは、優良な固定客をつくる上で大切なことなのです。
【2社目】開発者の駆け込み寺:成エレクトロビーム株式会社
東京都西多摩郡瑞穂町に本社のある東成エレクトロビーム株式会社(従業員80名)は、日本でもユニークな電子ビーム加工・レーザー加工の受託に特化した会社です。
電子ビーム溶接は通常の溶接加工と比較して、かなり厚い材質や異なる材質も接合することができます。また溶接加工につきものの“熱ひずみ”による変形も非常に少ないことが特徴です。
例えば自動車部品や真空機器の部品の中には、電子ビーム加工を活用することで、大幅にリードタイムとコスト削減が図れるものがあります。
ところが電子ビーム溶接の弱点は、その加工設備が非常に高額である、ということです。電子ビームはその特性上、真空チャンバーの中で加工を行う必要があります。従って電子ビーム設備のほかに真空ポンプやチャンバーといった周辺設備も必要となり、通常のレーザー加工設備と比較しても5~10倍もの費用がかかるのです。
従って良いとわかっていても、おいそれと導入できるものではありません。
そこで東成エレクトロビームでは、こうした高額な電子ビーム溶接の設備を10台以上保有し、同設備を活用してコストダウン生産を図りたい大手企業からの、加工コンサルティングを受託しています。
大手企業の開発部門から加工ニーズを聞き、そのニーズを実現できる加工条件を選定することで、「開発代行」を行っているのです。
こうした同社の取り組みはクチコミで大手企業開発者の間に広がり、現在では大手優良企業の設計開発者から「困った時の駆け込み寺」といわれ、高い評価を得ています。
その結果、同社は部品加工業界でもトップクラスの生産性を実現し、営業利益率は業界モデル水準の2倍にもなります。
お客様から「困った時の駆け込み寺」と言われる様な、そうした頼られる会社になりたいものです。
先端「町工場」視察セミナーは今回で5回目の開催となります。
この企画で毎回感じることは、好調な会社、業績の良い会社ほど、こうした企業視察のお願いに対して非常に前向きである、ということです。
普通に考えれば「同業者に工場を見せたくない」「忙しいのに仕事の手がとまる」など、マイナス面が頭に浮かぶかもしれません。
しかし、「自社の知名度が上がる」また視察の対応を通して「社員のレベルが上がる」といった大きなプラス面の効果、さらに「情報は、発信する人・会社に、より集まる」という原則があります。
良い情報・良い人脈を引き寄せるには、自ら良い情報発信を行うことです。こうした視察を企画する側として、そう強く感じます。
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