「増子・中年化」社会のマーケティングの著者、古田隆彦氏によれば、日本は少子高齢化では無い、といいます。
そもそも「老年」の定義が65歳と決められたのは1960年ごろのことであり、この時代の平均年齢は70歳前後でした。
現在の平均年齢は80歳を超えている訳ですから、そう考えると現在では75歳以上を「老年」と定義するべきだというのです。
また同様に「子供」の定義も見直すべきだと主張されています。
「子供」が15歳以下と定義された1960年ごろは、高校への進学率は58%で、大学への進学率は10%くらいでした。
つまり成人とされた20歳の時点で、大半の人が働いていた訳です。
ところが現在は高校への進学率は97%、大学への進学率も50%を超えており、20歳の時点では大半の人が就業経験はありません。
同氏によれば、24歳くらいまでは「子供」とみるべきであろう、と。
そう考えると日本は少子高齢化ではなく、「増子・中年化」だとみることができます。
この様に考えれば、今の若い世代を「未熟」とみるのではなく、教育の余地が高い人材だとみるべきでしょう。
また65歳を超えた人を「リタイア予備軍」とみるのではなく、まだまだ現役の人財と考えるべきです。
また人口そのものが減少していることは事実ですが、こうした人口動態に着目すれば新たなビジネスのヒントが見えてきます。
さらに同書によれば、日本が人口減少を迎えるのは今回が初めてではなく、過去に4回存在したといいます。
1回目は石器時代前波、2回目は石器時代後波、3回目は農業前波、4回目は農業後波、そして今の日本が直面している5回目の人口減少の波が工業現波だといいます。
ある文明が発展の限界を迎えると人口抑制作用が働き、人口が減少に転ずるというのです。
実際、1992年にバブルが崩壊して以降、日本の国民1人あたりGDPは減少し続けてきました。
国民1人あたりGDPが減少する、ということは言い換えると国民1人あたりの所得が減少する、ということです。
その結果、先行き不安から家庭を持たない、あるいは子供をつくらない世帯が増えたと考えられます。
人間は、先が見えないとモチベーションを落とす生き物です。
現在のマス・プロダクション型工業社会からブレイクスルーし、ハイ・プレシジョンな工業後波に移行することができれば、再び成長軌道に乗ることができるでしょう。
では今、何に取組むべきかというと、古田隆彦氏は「生産性の向上」であると言います。私もそう思います。
例えばコンサルティングをスタートするヒアリングの際、私が「御社の課題は何ですか?」と聞くと、「マンパワーが足りない」と応える管理職の人がよくいますが、こうした答えを聞くと私はがっかりします。
今という時代を乗り切る為には、「マンパワーが足りない」と考えるべきではなく、「生産性の向上がテーマです」と考えるべきなのです。
そして、生産性を向上させる為には大きく3つの方法があります。
1)若手・新人を早期戦力化する
2)社員のモチベーションを上げる
3)OA(オフィス・オートメーション)・FA(ファクトリー・オートメーション)を積極的に導入する
かねてから申し上げている通り、今、業績が良い会社の共通点は「若手の戦力化」ができている会社です。生産性を上げる最も手っ取り早い方法は、若手・新人の戦力化です。
ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
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