先進国の製造業にとって最も考えなければならない課題は、いかに新興国との価格競争を回避するかにあります。
そのキーワードは「消費財から生産財へのシフト」です。
例えばテレビや家電など、こうした商品は一般消費者向け(BtoC)の「消費財」になります。「消費財」は大量生産の世界で、価格競争にも巻き込まれやすいものです。実際、テレビなどの家電は量販店で安売りされていますよね。
ところがテレビや家電を製造するための工作機械、ロボット、半導体製造装置などは法人向け(BtoB)の「生産財」になります。「生産財」はその製品そのものの価格(=イニシャルコスト)よりも、信頼性や耐久性などのランニングコストの方が重要になります。従って「消費財」と比較して「生産財」は価格競争に巻き込まれにくいのです。
実際、前回のブログで述べたドイツは、GDPに占める製造業の比率が日本よりも高いですが、ドイツの隣国ポーランドは人件費がドイツの1/3前後という、日本よりも価格競争にさらされやすい環境にあります。それにも関わらず、ドイツが価格競争に巻き込まれないのは、消費財よりも生産財に力を入れているからです。
また日本の家電メーカーの中でも日立製作所やパナソニックの復活が著しいですが、これは両社がBtoB向け製品に力を入れていることに要因があります。
先進国になればなるほど、消費財から生産財へのシフトが求められるのです。
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