「年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学」の著者、カリフォルニア大学バークレー校のエンリコ・モレッティ教授によれば、イノベーションを引き起こす製造業1人の雇用に対して、その周辺エリアにはサービス業3人の雇用を生み出すといいます。
実際、多くの先進国においてGDPに占める製造業の割合というのは20%前後であり、サービス業(第3次産業)の割合が60%前後です。そう考えると、サービス業を支えている競争力のコアは製造業だということを、強く意識する必要があります。
こうした意識を強く持っているのは、先進国として成熟期を長く経験しているヨーロッパの先進国です。
例えば今年5月に視察セミナーを行ったスイスの場合、世界競争力ランキング2位で同時に幸福度ランキング3位と、競争力・幸福度ともに高いレベルにあります。
そうしたスイスの場合、GDPに占める製造業の割合は27%と、先進国の中ではかなり高水準です。
またスイスには2つの国立大学がありますが、いずれも工科大学であり(チューリヒ工科大学・ローザンヌ工科大学)、いかに製造業を重視しているかがよくわかります。
またスイス同様に国際的に高い競争力を持つドイツは、GDPに占める製造業の割合は25%あります。
ちなみに日本の世界競争力ランキングは27位であり、幸福度ランキングに至っては43位と、残念ながらかなり低い水準にあります。
そうした日本のGDPに占める製造業の割合は20%です。
これは、日本が今まで「アメリカモデル」を追ってきた弊害といえるかもしれません。
そうしたアメリカのGDPに占める製造業の割合は、わずか15%です。格差社会の拡大もそうですが、近年のアメリカの凋落ぶりは目を覆うものがあります。こうした問題の根幹は、製造業の軽視にあるのではないかと私は思います。
来年6月に視察セミナーを企画しているオランダの場合も、GDPに占める製造業の割合は25%もあります。
前々回のレポートでも述べた通り、オランダも高い国際的な競争力と幸福度を両立している数少ない先進国の1つです。
↓↓↓前々回のレポート
https://factory-business.com/blog/976/
この様に、日本の国益・競争力を考えるのであれば、当然のことながら国内の製造業に力を入れていかなければなりません。
そうした中で、成熟した先進国で生き残ることができるビジネスモデルのヒントを見つけるのが、今年5月に企画したスイスブランド企業視察セミナーであり、また来年の6月に企画しているオランダ「先端企業」視察セミナーでもあります。
中国やタイ・インドネシアといった発展途上国に拠点を持つことも大事ですが、こうした海外の拠点は事業戦略の中の1つの手段に過ぎません。
肝心の事業戦略・経営戦略のヒントは、本当の意味での「課題先進国」である欧米にあると思いますし、日本と同様に長い歴史と文化を有する欧州にあると私は強く感じています。
ドイツ、スイス、そしてオランダなど、モデル先進国の事例を見ると、日本国内でのモノづくりビジネスに自信と確信が沸いてきます。
私と同様に、ヨーロッパ企業を数多く視察されている経営者の方も同じことを口を揃えて言われます。
今回企画のオランダ先端企業視察セミナーは、オランダ商工会議所とオランダ大使館の前面協力のもとで進められることになりました。
百聞は一見にしかずで、ぜひご参加を検討いただければと思います。
↓↓↓本視察セミナーの詳細・お申し込みはこちら
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/315152.html
製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る