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2014年12月の生産財業界の市況

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「円安」と「原油安」が進んでいます。生産財業界には大きな追い風となっています。

先日、京都の液晶検査装置のセットメーカーが、中国で大型受注をしたとの話を聞きました。日系電機メーカーの液晶テレビの製造ラインだそうですが、こうした中国の消費財生産工場で日本のセットメーカーが受注する、という話は1~2年前にはまず考えられないことでした。

当時は韓国メーカーあるいは台湾メーカーが日本メーカーの半値という価格で、受注を持っていくのが一般的でした。私のある関係先などでは韓国の提携企業に設備を製造させ、コストダウンを図っていましたが、それでも収支の面では極めて厳しい商談だったと記憶しています。

ところが今は急激な円安で、2年前の6掛けの価格で日本の製品を売ることができます。半値、となれば韓国製や台湾製を購入するでしょうけども、1~2割しか価格が変わらない、となると多くのユーザーが信頼性の高い日本製の設備を導入します。

また「原油」も、今やピークの半分以下です。

その結果アメリカでは「ガソリン安」となり、北米では自動車が飛ぶように売れているといいます。

アメリカは自動車社会なので、ガソリン価格が自動車の売れ行きに直結します。今まではガソリン高で、それがアメリカの一般消費の足を引っ張っていましたが、今後はアメリカの一般消費もさらに上向き、現在の「円安」の効果もあいまって、外需はさらにバブル的になっていくと思われます。

片や昨年までは絶好調だったタイは、自動車が売れないことから現地日系企業も大苦戦を強いられているといいます。

また中国も不動産バブルが崩壊して、ずっと好調だった建設機械なども厳しい状態です。

中国は発展途上ということもあり、特に民間企業はかなりずさんな計画で資金を集め、売上ゼロの状態でもまず工場を建設して設備投資を行います。

現在の中国はこうした、設備投資を行ったものの売上はほぼゼロで、新たな受注も見込まれない工場が、各地に数多く存在します。改めて海外ビジネスのリスクの高さを感じます。

原則、中小企業は国内で生き残る戦略を取るべきでしょう。

もちろん、産業構造の変化で従来のビジネスでは国内での生き残りが厳しいケースも多々あります。

例えば樹脂の試作業界などは、リーマン・ショックで実質の時間チャージが1/2程度にまで下がりました。現在もこのチャージは以前のレベルに戻っていないといいます。

その理由は、ただでさえ海外移転が進んだ家電・OA業界が、リーマン・ショックに加えて、その後の円高、さらに3.11東日本大震災の影響で、開発機能までが海外に移転したことが挙げられます。

従って樹脂の試作だけでは経営が厳しく、気力・体力のある会社は金属の分野や5軸など付加価値の高い分野に進出を図っています。

樹脂の試作業者が金属(アルミ)の試作にも進出するなど、いわゆる“お隣の業界”への進出は、国内における成長戦略の定石だといえます。

売上を上げる為の考え方として、通常は、

売上高 = 客単価 × 客数

で考えます。

しかし船井総研では売上高を上げる為の考え方として、

売上高 = シェア × マーケットサイズ × 商圏人口

で考えます。なお、マーケットサイズとは、自社の取扱商品の市場規模のことです。

市場が右肩上がりの時に考えるべきことは、上記の式でいうと「いかにシェアを上げるか」ということになります。

しかし現在の様に市場の成長がほぼ見込めない場合、もっというと右肩下がりの時代というのは、まず考えるべきことは「マーケットサイズを増やす」さらに「商圏を広げる」ということです。

お隣の業界に進出する、というのはマーケットサイズを増やす、ということになります。

またインターネットを活用して、関西圏の会社が関東圏からも仕事を取る、というのは商圏を広げる、ということになります。

多くの中小企業の場合、まずマーケットサイズを増やし、さらに商圏を広げる、というステップを踏んだ方が良いでしょう。

こうした戦略をとって、目指すべきところは「特定業界・特定顧客依存」からの脱却です。

市場の波に振り回されない会社をつくること、永続する会社をつくることこそが経営の目的だからなのです。

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