今、生産財業界は明らかに“バブル”と言えるでしょう。
多くの会社が仕事をこなしきれないくらい多忙です。またリーマン・ショック以降、最高の生産高になった、という会社も多いのではないでしょうか。
現在の“バブル”は次の3つのバブルから構成されています。
①円安バブル
②自動車バブル
③ものづくり補助金バブル
円安のおかげで、海外にグローバル展開している大手企業は物凄く潤っています。今まで70円でしか売れなかった製品が、110円で売れるわけですから、笑いがとまらないことでしょう。
私はここ数年間、ずっと「中小企業こそ大手企業をターゲットにしよう」といい続けてきました。
なぜなら構造的に、海外にグローバル展開している大手企業しか儲からない様になっているからです。
「大手企業攻略マーケティング」言い換えれば「コバンザメ作戦」が展開できている中小企業は、この円安バブルの恩恵を受けているでしょう。
次に、今、生産財業界を牽引しているのは「自動車」です。
円安により国産車の輸出、正確に言えば国産自動車部品の輸出が増えていることも理由ですが、北米の自動車向けサブプライムローンも、自動車バブルの一因です。住宅向けサブプライムローンと同じく、どこかでこのバブルも弾けるでしょう。
さらに今は、ものづくり補助金バブルです。経済産業省の今年のものづくり補助金の予算規模は4000億円と言われています。これは国内の工作機械マーケットとほぼ同じ額です。また中小企業だけでなく、大手企業に対しても膨大な補助金がばら撒かれています。
現在の国内設備投資にからむ話は、何らかの形で補助金が関係していると考えた方が良いと私は思います。
ちなみに来年も、ものづくり補助金は継続する見込みです。これも政府当局が進める金融緩和の一環です。
ただし財政再建が日本の急務となっている以上、再来年の継続は無いでしょう。来年の秋以降の市況が気がかりなところです。
「バブルの中にいるとバブルに絶対気がつかない」といいます。今、部品加工業の経営者が最も考えることは、このバブル対策です。
バブル対策、すなわち大不況への対策としては次の3つを挙げることができます。
(1)教育
(2)研究開発
(3)特定顧客・特定業界依存からの脱却
まず、人材のレベルは企業にとって最大の差別化要素です。
さらに一般消費者向けビジネスが広域戦なのに対し、法人向けビジネス、特に我々の様な生産財ビジネスは局地戦(=ゲリラ戦)です。従って人のレベルが業績に直結します。
市況の良い今こそ教育に力を入れるべきでしょう。
次に研究開発です。具体的には自社独自技術、あるいは自社独自商品の開発です。研究開発に企業規模は関係ありません。
私のコンサルタントとしての経験上、どんな零細企業であったとしても、研究開発の余地・テーマはあります。このテーマは来年の私のセミナーの中で掘り下げていきたいと考えています。
さらに最大の不況対策は、特定顧客・特定業界に依存しないことです。すなわち新規優良顧客の開拓です。そして実は今が新規優良顧客を開拓するには大きなチャンスです。
なぜなら先ほども述べた通り、生産財業界全体がバブルで忙しいため、バイヤーが新たな外注先を探しているからです。
特に彼らが以外と利用するのは、地域で開催される中小企業展など、公的機関が主催するマッチングの展示会です。
こうした展示会は不況期には閑古鳥が鳴きますが、現在の様な好況時には有効な営業手段です。
ただし展示会出展においても、ホームページの強化が必須です。なぜならバイヤーは展示会に訪れる前に出展企業をチェックし、あらかじめどのブースに訪れるのかを決めているからです。
さらに何を出展するのかも大事です。ただワークを並べてあるだけのブースではその他大勢の町工場と同じです。私の顧問先では、VA・VE提案事例のパネルを展示し、多くのバイヤーの足を止めていました。
多くの会社が不況期にあわてて展示会出展を行い、現在の様な好況期には目先の仕事に追われています。
今、何を行うのかが近い将来の自社の運命を決めることになるでしょう。
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