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JIMTOF2014で明確になった先進国の方向性

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JIMTOF2014が閉幕しました。今回のJIMTOF2014は、先進国の工作機械産業の方向性を明確に示した、非常に良い内容だったと思います。

↓↓↓JIMTOF2014のレポートはこちらから

https://factory-business.com/buhinkakou/commentary/jimtof2014/

例えば振り返れば4年前、2010年の上海万博が開催された年のJIMTOFは今回と全く異なる雰囲気でした。

この年のJIMTOFは中国メーカーのコーナーがつくられ、また出展メーカーも韓国・台湾のメーカーなど新興国のメーカーが大きなブースで多数出展していました。

またアメリカのHaasという、日本のマシニングセンタの約半額という低価格を武器にしたメーカーが、大きなブースで目立つ場所に出展していました。

とにかく「安くなければ話にならない」「日本のものづくりは新興国に負けてしまう」といった、悲観的なムードが大勢を占めていました。

実際、この頃には「沈陽机床や大連机床といった中国4大メーカーの工作機械は日本製と性能が変わらない」「その上で価格は半値以下」「いまに中国製の工作機械が世界を席巻する」と言い切る業界関係者の方もいました。

しかし、工作機械に代表される生産財ビジネスというのは、消費財ビジネスの様に「規模の経済」が効くビジネスではありません。

特に工作機械産業というのは「ホビービジネス」と言われる産業で、その商品への想いや愛情がなければ成功しない業界です。

日本のものづくりが海外に負ける、あるいは何でもかんでも海外進出、というのは大きな間違いなのではないか、という私の強い思いから、出版社(中経出版)を説得して出版にこぎつけたのが、『「技術のある会社」がなぜか儲からない本当の理由』という本です。

この私の著書はそれから1年後、2011年11月に出版されました。

↓↓↓「技術のある会社」がなぜか儲からない本当の理由

https://www.amazon.co.jp/「技術のある会社」がなぜか儲からない本当の理由――「技術力」だけでは儲からない。価格競争を避けるしくみをつくれ!-片山-和也/dp/4806142492

本当は「中小企業は国内で生き残れ!」というタイトルにしたかったのですが、出版社の意向でやむを得ず、上記タイトルとなりました。

ただし、同書のオビには「中小企業は国内で生き残れ!」と大きく入っています。

その後、まずアメリカにおいて製造業の国内回帰が叫ばれる様になりました。なぜならサービス業だけでは、雇用も生み出さないし人材のレベルも上がりにくいからです。

例えばある地方にイオンのショッピングモールができましたが、そこの従業員の数は400人だと言っていました。もちろん大半がパート・アルバイトでしょう。

もし同じ敷地に工場ができていたらならば、従業員の数が2000人は超えているでしょう。しかも大半が正社員だと思います。

またサービス業と比べると製造業の方が給与水準は高い上、専門的な技能・技術も身に付きます。

とにかく製造業を軽視した結果、貧富の差が大きく広がり、社会的に不安定なってしまったのが今のアメリカです。

そして日本においても「円安」の影響もあるのでしょうが、国内でのものづくりが改めて見直されています。

そもそも先進国においては、人件費が問題になる様な構造のものづくりを行ってはいけません。従って価格よりも品質、さらにはイニシャルコストよりもランニングコストが求められる、「医療機器」「エネルギー」「航空機」「産業インフラ」さらには「工作機械」「ロボット」といった生産財分野を手がけていかなければなりません。

また加工業においては、従来のマシニングセンタやCNC旋盤ではなく、マシニングセンタとCNC旋盤の機能が合わさった複合機、さらには“かけっぱなし”にできる2スピンドル機などを活用し、お客が想定するよりも「安いものづくり」ができる生産システムを追求していかなければなりません。

今、業績の良い加工業の共通点は複合機を使いこなしている会社です。繰り返しになりますが、複合機はイニシャルコストが高いです。ところが、その後のランニングコストが安くなる(=かけっぱなしにできる)から、加工業としては儲かる機械なのです。

従って、先進国の工作機械はより複雑になりますから、「使いやすさ」が求められます。この「使いやすさ」が今回のJIMTOFの1つ目のテーマです。

さらには高い人件費でも、安くものづくりを行うためには“かけっぱなし”が求められます。つまり「自動化」であり、この「自動化」は今回のJIMTOF2つ目のテーマです。

余談ですが来年の“ものづくり補助金”においては、中小企業のロボット投資に対して、最大で2/3の助成を行うという案が検討されています。来年は「自動化」が中小企業においても、より推進される年になるでしょう。

話を戻すと、現在の様な混迷の時代でも安定的に競争力を維持しているドイツやスイスといった欧州の先進国は、実はアメリカや日本よりもGDPに対する製造業の比率が高い国です。

今回のJIMTOFのテーマもそうですが、我々として先進国に残るものづくりのあり方を、今後も追及していく必要があるでしょう。

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