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小が大に勝つ、2つのルール

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先日、生産財業界の大手商社経営者の方が、「今の市況は西高東低」と言っていました。関東方面よりも中部・関西方面の方が市況はいい、というのです。

確かに中部エリアは自動車関係や航空機関係が好調です。自動車に関しては国内設備投資が振るいませんが、海外向け設備は絶好調です。

また京都エリアもスマホ向け電子部品の製造装置がらみで、電子部品メーカーだけでなくセットメーカーもかなり多忙です。京都の私の関係先の機械工具商社某社は、今年の4月以降、前年対比140%前後でずっと推移しています。

さらに関西エリアはパナソニックが米国テスラ・モーターズから自動車用リチウムイオン電池の大量受注を受けたことから、関連のセットメーカーや部品加工業を始め、かなり多忙な状況です。

産業の市場規模としては関東が圧倒的なのですが、中部は自動車・航空機産業の集積地であること、関西は歴史の長さからくる裾野の厚さと技術力の高さから、前述の「西高東低」という状態になっているのかもしれません。

とはいえ、企業業績はかなり二極化しています。廃業や倒産もかなり増えています。前述の私の関係先でも、この数ヶ月で数件の廃業・倒産事案がありました。幸いにも金額は小口ですが、好調なエリアでも企業業績の二極化が進んでいるのです。

この企業業績の二極化は、企業規模の大小は全く関係ありません。

例えば前述の京都の私の関係先の機械工具商社は、2014年3月期決算で過去最高の売上となり、2014年4月以降も昨年対比140%前後で推移しています。今期も過去最高の決算になるでしょう。

ところが同業の伝導機器をメインに扱う某上場機械工具商社は、2期連続で大幅減収という結果になっています。

この上場商社は前述の機械工具商社の10倍近くの売上があり、全国に多数の拠点を持っていながら、苦戦を強いられているのです。

現在の様な成熟期になると企業規模が大きいことが、必ずしも有利に働かなくなります。

なぜなら世の中に「モノ」があふれかえっており、ただ「モノ」を売っているだけでは価格競争にしかならないからです。

市場が伸びない成熟期になると「モノ」ではなく「コト」、つまり価値をいかに売っていくかが求められます。

例えば前回のレポートでお伝えした米国視察で訪れた、スチューレオナードというスーパーマーケットは、わずか4店舗の展開で年商400億円しかありませんが、年商40兆円の世界一の超巨大企業ウォルマートよりも高い収益性を誇ります。

なぜ年商400億円しかないスチューレオナードがウォルマートに勝てるのかというと、スチューレオナードは定価が決まっているナショナルブランド商品で勝負をしないからです。

スチューレオナードの強みは管理の難しい生鮮食品であり、手間隙かかる惣菜(デリ)にあります。洗剤やシャンプー、ドレッシングや調味料といったナショナルブランド商品はウォルマートで買い、鮮度が求められる生鮮食品や、夕食に食べる惣菜はスチューレオナードで購入する、という使い分けを消費者が行っているのです。

さらに、こうしたグレートカンパニーは「モノ」を売るだけでなく「ヒト」を売っています。

例えば前述のスチューレオナードの店舗の入口には、自社の理念がきざまれた大きな石が置かれています。

その石には次の“2つのルール”がきざまれています。

RULE1 「THE CUSTOMER IS ALWAYS RIGHT」(お客様は常に正しい)

RULE2 「IF THE CUSTOMER IS EVER WRONG REREAD RULE1」(お客様がもし間違っていたらルール1.を読み直しなさい)。

いかにスチューレオナードが「コト(価値)」を売るだけでなく、「ヒト」を売っているのかがよくわかります。

↓↓↓スチューレオナードの石に刻まれた2つのルール

https://factory-business.com/commentary/amerika2014/amerika2.html

前述の京都の機械工具商社でも、定価の決まったナショナルブランド商品では勝負をしていません。手離れが悪く、多少のリスクも伴う「加工」「工事」「エンジニアリング」を武器にしています。

また、営業マンがこうした「加工」「工事」「エンジニアリング」をこなせる、ということは、それなりの人材教育を普段から行っている、ということです。実際、同社ではコストをかけてSFA(セールス・フォース・オートメーション)を導入し、リアルタイムで上司が部下に日報システムを通してアドバイスできる体制をとっています。外部への研修派遣も定期的に行っています。

この様に「モノ」よりも「コト」、さらには「コト」よりも「ヒト」が売れているかどうかが、現在の様な成熟期における企業業績を決定的に決めているのです。

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