先週10月5日(日)から1週間、アメリカグレートカンパニー視察セミナーで、ニューヨーク・ボストンの企業視察を行ってきました。
↓↓↓本視察セミナーの詳細レポートはこちら
https://factory-business.com/commentary/amerika2014/amerika1.html
今回のレポートは、本視察セミナーで感じたことをお伝えしたいと思います。
1)アメリカは好況
まず感じたことは、アメリカは好況です。昨年4月に訪問した際には「景気の良さは実感できない」との現地の声が多かったですが、今回は現地ガイドも明確に「景気が良くなっている」と言っていました。
事実、ニューヨークのホテルもほぼ満席、昨年よりも活気がありました。またボストン郊外のショッピングセンターも平日の昼間であるにも関わらず駐車場はいっぱい、市内中心部のショッピングモールも平日ながら多くの人出でした。
金融緩和の出口戦略など、アメリカにおいても不透明な部分は多々ありますが、9月のIMTSシカゴショーも大盛況のうちに終わったことを考えると、ようやくアメリカも景気が上向いていると思います。
これは、我々生産財業界にとってはプラスなことです。
2)日本国内は消費税増税で厳しい
今回のグレートカンパニー視察セミナーには、様々な業種の経営者が100名以上もご参加されました。
そうした中、国内小売業の経営者の方にお話を聞くと、消費税増税の影響が相当でていて厳しいとの声が非常に多かったです。
特に自動車販売など、単価の高い商材を扱う業種は厳しそうです。
今までの5年間は円高もあって内需主導のビジネスが良かったですが、これからの5年間は外需主導のビジネスが上向きそうです。
ただしアメリカ好況・円安の恩恵を受けるのは自社ブランド商品を持ち、自力でグローバル展開している中堅・大手優良企業と、その1次取引先だけです。2次・3次となるとそれほどの恩恵は無く、逆に円安で資材高・エネルギー高・人件費高で経営は厳しくなるでしょう。
今、中小企業に求められることは、絶好調な中堅・大手優良企業に対する“コバンザメ戦略”と言えるでしょう。
3)今回の視察セミナーのまとめ
今回視察した11社の共通点は、全ての会社で「何で世界一になるか」を決めている、ということです。
①TFA・・・教育格差是正で世界一(世界展開できるプラットフォーム)
②スチューレオナード・・・顧客満足で世界一(ルール1、ルール2)
③IBM・・・人口頭脳で世界一(ワトソン)
④アトランティックヘルス・・・医療サービスで世界一(5つの信頼指標、組織で成長)
⑤KPMG・・・グローバル・トータル監査サービスで世界一(BIG4)
⑥ウェッグマンフーズマーケット・・・デリ(惣菜)で世界一(フードコート)
⑦MIT・・・工科大学で世界一(技術+芸術、学際で新たな価値)
⑧ハブスポット・・・インバウンドマーケティングで世界一
⑨マリオット・・・ホテルチェーン展開で世界一
⑩ハーバード・・・総合大学で世界一
⑪ワイトリシティ・・・非接触充電で世界一
自社が「何で世界一」になるのか?あるいは「何で日本一」になるのか?これを決めることがグレートカンパニーへの第一歩でしょう。
また、各社に共通することは「共感」と「双方向性(インタラクティブ)」を何よりも重視している、ということです。
まず前述の「何で世界一」になるのか?というのは言い換えれば経営者自身の欲求であり、自己実現でもあります。
あるいは志と言い換えることができます。
当然のことながら、ただ売上だけ、利益だけ、自社が生き残ることだけを考えている会社には誰も共感しません。
しかし「この分野で世界一になる!」と決めた経営者の志には多くの人が共感します。この「共感」こそが価格競争回避の第一歩であり、優秀な人材を集める第一歩であることは言うまでもありません。
また「双方向性(インタラクティブ)」とは、会社から社員に、あるいはお客様に一方的に伝えるのではなく、相互にコミュニケーションを取る、ということです。
例えばMITでは、教授よりも学生の発言の方がずっと多いことに驚いた、と留学している日本人学生が言っていました。
また多くの視察先において社員が働きがいを感じる点として、「上司が自分の話をきちんと聞いてくれる」「意見をきちんと尊重してくれる」「様々な意見が出しやすい環境である」を挙げていました。
そして「多様性を認める」ということです。
例えばハーバード大学では、アメリカの学生だけに偏重しない様、世界各国の学生が集まる様、多様性が維持できる様に入試の段階でかなりの考慮をしているそうです。
彼らは「多様性を認める」ことで、強い競争力を維持できると考えています。
またアトランティックヘルスは、医師も看護師もスタッフも皆平等なスタンスで患者と向き合っています。施設内を案内してくれたスタッフも皆明るく、いわゆる「白い巨塔」的な封建的な雰囲気は全くありませんでした。
その結果、スタッフのモチベーションも非常に高く、それは患者や利用者の満足度向上に直結しています。
私が今回の視察で感じたことは、最初に述べた「何で世界一になるのか」「何で日本一になるのか」を、まずは経営者が決めることが大切だということです。
それを決めることが経営者自身の自己実現につながり、それに共感する社員が集まることで働きがいのある職場が実現するのだと思います。
またその結果、顧客満足度も上がり業績向上につながるのだと思います。
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