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日本の10年後がアメリカにある

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今週10月6日からアメリカ東海岸グレートカンパニー視察セミナーで、ニューヨーク・ボストンに1週間行ってきます。

今回の視察の趣旨は、アメリカの“働きがいのある会社ランキング”上位入賞企業を視察する、ということです。

例えば、今回の視察の目玉の1社がティーチ・フォー・アメリカというNPO法人です。給料も高くないNPO法人であるにも関わらず、アメリカの文系大学生の就職ランキングには、ここ数年常に3位以内に入っており、グーグルやディズニーを抜いて1位になったこともあります。

また、正解最高峰の大学であるハーバード大学の20%もの学生が、このティーチ・フォー・アメリカへの就職を希望すると言います。

日本ではほとんど知られていない、このティーチ・フォー・アメリカというNPO法人のミッションは、貧困地域や過疎地域など、教育格差が問題となっているエリアの学校に、優秀な教員を送り込むプログラムにあります。

ハーバード大学など超優秀な大学を卒業した大学生が2年間、プロの教師も行きたがらない様な、教育困難校で指導にあたるのです。

そして、このプログラムは大きな効果を上げているといいます。

例えば高校卒業のライセンス取得率が2割に過ぎなかった問題校が、わずか2年間のうちに、ライセンス取得率が8割にまで向上したという実績もあります。

多くの場合、教育格差が問題になる様なエリアの教員というのは、モチベーションが高くなかったケースが、今までは多かったそうです。

そうした学校に、若くても超モチベーションの高い、情熱を持った教師が赴任してくる訳ですから、大きな効果が上がることについて、私はよく理解することができます。

そして、このNPO法人はGEやゴールドマン・サックスといった大企業からの寄付金により運営されています。

そしてティーチ・フォー・アメリカで2年間のプログラムを終えた学生は、そのリーダーシップ力やコミュニケーション力をかわれ、こうした大企業への就職がかなり有利になるといいます。

GEやゴールドマン・サックスといった大企業も、優秀な人材を採用するために、このティーチ・フォー・アメリカに多額の寄付を行っている側面もあります。

この様にNPOに寄付をする側、そこで働く側にとっても様々な思惑があることは事実ですが、しかし大企業が寄付した大金で教育格差が多少なりとも解消され、また学生にとっても将来社会で通用するリーダーシップ力・コミュニケーション力を身につけるという観点で、こうした仕組みは決して悪くないと思います。

また興味深い点は、ティーチ・フォー・アメリカのプログラムに参加した初期の時点で、教育関係の仕事を志望する学生は4%しかいないといいます。

ところが、2年間のプログラムを終えると全体の60%もの参加者が教育関係の仕事を志望するといいます。もちろん、そのままティーチ・フォー・アメリカに残る人もいます。

「お金よりもやりがい」を求めている若者が増えている、ということだと思います。

アメリカではこの様に、学生が志向する職場のあり方も変わってきています。優秀な人材を獲得する上で「働きがい=やりがい」を訴求していくことは必須だといえます。

このグレートカンパニー視察セミナーは、その性質上どうしても比較的大きな会社を視察することになります。

そうすると「ウチみたいな中小企業が、そんな大きな立派な会社を見ても参考にならない」と言われることがあります。

しかし仮に視察する先が超大企業であったとしても、そこから自社に取り入れられることが、1つくらいは必ずあるはずです。

また昔からアメリカの今の姿は10年後の日本の姿、と言われますが、それは今の時代も同じだと思います。

例えば2008年10月に私はアメリカの機械工具商社の視察セミナーを行いました。その時点ですでに、アメリカでは通販が業界を席巻し、市場も縮小していることもあって、機械工具商社もナショナルブランド商品では利益が取れなくなっていました。

ですから私が視察した機械工具商社では中古機械の販売に力を入れ、自社のPBを充実させていました。またナショナルブランドの切削工具については在庫管理代行を行うなどして、利益率のアップを志向していました。

今、日本の機械工具業界も同様になりつつあります。

また3年前に視察したシリコンバレーのセールスフォースドットコムでは、クラウド革命の本質を知ることができ、衝撃に近いものを感じました。当時、日本ではメール主体のコミュニケーションでしたが、アメリカではチャット主体のコミュニケーションに変わっていました。

デジタルデバイドという言葉がありますが、こうしたITを理解できるかできないか、使いこなせるかできないかで、ますます格差が開いていくことになると思います。

この様に、アメリカやヨーロッパなど先進国の本格的な視察を行うと、これからのトレンドを知ることもできます。

何よりこうした視察セミナーに参加される経営者の方は、非常に意欲とモチベーションの高い方が多いです。

今回のグレートカンパニー視察セミナーは110名ものお客様がご参加されますが、大半の方がリピーターです。

また非常に勉強になるからと、ご子息を連れて参加される社長さんも多くいらっしゃいます。

今回の視察セミナーの詳細は、私のブログでもお伝えさせていただきますが、ぜひ来年以降、機会があればご参加いただければと思います。

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