エルマー・ホイラー著 ステーキを売るなシズルを売れ!は1937年に出版されたセールス・テクニックを体系的に解説した本であり、同分野としては全米初のベストセラーとなった古典的名著です。
同書の中に「どのワインになさいますか?」と聞くよりも「赤になさいますか?それとも白になさいますか?」と聞く方が、レストランにおいてワインの売上は倍近くに伸びる、といいます。
こうした効果的な話術で売上が伸びるのは消費者向けビジネスだけなく、生産財業界のビジネスにおいても同じことです。
例えば新規開拓でアポ取りの電話の際、「いつでしたらご都合がいいですか?」と聞くよりも「来週の水曜日の午後13時はいかがでしょうか?」と、相手がYesかNoで応えられる質問を投げたほうが、アポ取りに成功する確率は飛躍的に高くなります。
新規開拓ということは人間関係が無い、ということです。そして「いつでしたらご都合がいいですか?」という質問を投げられると、考えなければなりません。「いつって言われても毎日忙しいのに・・・」と、人間関係も無い相手から負担のかかる質問を投げられると、当然のことながら相手に対して共感しないものです。
その点、「来週の水曜日の午後13時はいかがでしょうか?」という質問であれば、考える余地はありませんから負担もかかりません。「その日は無理ですね」と言われたら、「では、来週の木曜日の午前中はいかがですか?」と続ければ良いのです。
話し方ひとつで、その後の成果が大きく変わるということです。
また同著のタイトル、ステーキを売るなシズルを売れ!とは、ステーキという「モノ」を売るのではなく、シズル(=ステーキが焼けている音・匂い・雰囲気)という「コト」すなわち“体験”を売れ、ということです。
例えば鉄板焼きで炎を上げたり、あるいは見事な包丁さばきを見せたりするのも「コト」すなわち「体験」を売っているわけです。
「コト(=体験)」を売ることで、他店と差別化することができ価格競争を回避することができます。
そしてこれも、生産財業界においても同じことです。
「何か仕事ありませんか」「こんな加工が得意なんです」という売り込みでは、お客様から共感を得ることができませんから、価格勝負にしかなりませんし、それ以前に引合いすらもらえないでしょう。
こういう仕事の取り方は「モノ」を売る仕事の取り方です。
そうではなく、「この様にすれば設計段階からのコストダウンになります」「これがVA・VEコストダウンの事例です」という提案であれば、これは「コト」を売る仕事の取り方です。
しかもインターネットやDMを活用することで、こちらから売り込まず、あくまでも相手からの要望に対応する、というスタイルをとることができ、商談でも優位に立つことができます。
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この様に、一見全くことなる異業種ビジネスからも、普遍的な原理原則であれば学ぶべきことは多々あります。
いずれにせよ「モノ」ではなく「コト」を売り込むビジネスを追求していくことが大切、ということなのです。
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