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今から始めておくべき来年秋の大不況対策

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前回のレポートでも申し上げましたが、5月は市況ではっきりと差がでてきました。具体的には、

・部品加工業は忙しい

・ところが機械工具商社は業績が振るわない

ということです。

なぜ部品加工業は忙しいにも関わらず、機械工具商社の業績は振るわないのでしょうか。

それは、「国内設備投資」にユーザーが慎重だからです。

円安の影響もあり、自社ブランドを持つ中堅・大手メーカーは輸出が好調です。従って、そうした中堅・大手メーカーが製造する製品に組み込まれる部品は数が出ます。

従って部品加工業は忙しいのです。

ところが、こうした目先は忙しい中堅・大手メーカーも国内については設備投資をまだまだ押さえています。消費税増税の影響もよくわかりませんし、何よりも来年10月にはさらに消費税増税が控えています。新聞には大手企業が設備投資を増やす、と書かれていますが、実際の現場では極めて慎重です。

その結果、設備投資に関連する機器・工具の扱いウエイトが大きい機械工具商社は不調なのです。

しかし、以前から申し上げている様に、3K(=加工・工事メンテ・工作機械(中古))に力を入れている機械工具商社は業績が良いです。

例えば愛知県の機械工具商社A社(従業員20名)は、最近新規営業所を出店しました。ここの会社は「加工」「工事」を武器にしており、そうしたサービスを切り口に新規開拓を進めています。

そして、この半年間の取り組みで年商1000億円の大手ユーザーに加え、年商500億円の大手ユーザーなど、数社の新規口座を獲得し、新営業所は5月は2000万円を超える売上になりました。

機械工具商社の場合、新規営業所を出店すると会社は間違いなく活性化します。市場が縮小していく以上、「加工」「工事」など新たな業態を付加すると同時に、商圏を広げるのは当然のことです。

また、3Kの中でも最後のK、工作機械もネットでは絶対に売れない商材ですから、機械工具商社として力を入れるべきです。

特に今後は中古機械に力を入れていくべきでしょう。

先日、近畿エリアの機械工具商社B社(従業員40名)で、中古機械に力を入れていく取り組みを始めました。

そうすると、さっそく某大手ユーザーから硬さ試験機の引合いがありました。安ければ中古でよい、と。

そこでB社で調べたところ、関東の中古業者が硬さ試験機の在庫があることがわかり、価格は100万円でした。新品だと280万円。

その某大手ユーザーは「とにかく安い中古にしてくれ」との一点張り。とはいえ関東まで確認に行く手間が取れないので「動画を撮って送ってくれ」とのことで、中古業者に動画を撮ってもらってメールでもらい、それを某大手ユーザーに確認いただいて受注となりました。

ちなみに、この某大手ユーザーは財閥系の大企業で、誰もが知っている様な日本を代表する大手ナショナルブランドメーカーです。

そんな会社でも「安ければ良い」ということで中古を買うわけですから、いかに国内の設備投資が厳しいかがよくわかります。

その点、さきほど申し上げた「加工」「工事メンテ」は必需品であり、どんなに景気が悪くなろうが、設備投資の様にゼロになることはありえません。

さらに、ものづくり補助金が終わり、消費税が10%を越える来年の秋以降は確実に中古機械のニーズが増えます。その時になってから取り組んでも手遅れです。今から取り組んでおく必要があります。

つまり前に述べた機械工具商社にとっての「加工」「工事メンテ」「工作機械(中古)」への取り組みは、来年秋に向けた大不況対策であるともいえます。

さらに根本的な不況対策は「勝ち組のお客様と付き合う」ということです。

中小企業の業績というのは、多くの場合付き合う客先の業績によって決まります。大変失礼ではありますが、負け組のお客様と付き合うと、取引業者である我々にも過大な値引き要求、あるいは相見積りばかりで価格競争にしかなりません。

負け組でヒマだから、お客様も価格に目がいくのです。

ところが勝ち組で事業拡大・増産に入る様なお客様は、価格よりも納期管理や品質管理、さらには様々な提案を重視してくれます。

勝ち組でお客様も忙しいから、我々に「顧客代行」を求めてきますし、忙しいが故に価格に目がいきにくいのです。

不調な大手企業が取る作戦は、下請けや納入業者を叩いて、その分自社の利益を出すことです。

ですから現在の様に二極化している時代こそ、中小企業は「勝ち組」のお客様をしっかりと捕まえておく必要があります。

ですから「新規開拓」が必要なのです。

その点、前述の機械工具商社A社などは、非常に良い成功事例であると思います。事実、A社は5月の売上も昨年対比で120%となっています。

では、部品加工業は来年秋への不況対策として、何に取り組むべきなのでしょうか?次回のレポートで詳しく述べたいと思います。

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