意外と知られていないことですが、国際的に高い競争力を維持している国というのは、実はGDPに占める製造業の割合が高いのです。
<GDPに占める製造業の割合>
・日本 20%
・米国 12%
・ドイツ 25%
・スイス 27%
・イギリス 18%
・フランス 14%
学校での一般的な知識として、経済の発展とともに農業(第1次産業)から工業(第2次産業)、そしてサービス業(第3次産業)へと“変化”する、と教えられますが正確には“変化”ではなく“付加”と考えるべきでしょう。
前回のレポートでスイス視察セミナーについてお伝えしましたが、国際競争力ランキング1位であるスイスは、実は製造業立国であることが上記からよくわかります。
↓↓↓スイス視察セミナーのレポート
https://factory-business.com/seisanzai/commentary/swiss2014/report1.html
スイスと言えば“観光”というイメージが強いですが、実はスイスにおける観光収入のGDP比は3%もなく、これは香港の半分以下です。
今回スイスを視察して強く感じたことは、スイスは勤勉な国民性であえると同時に、非常にしたたかな国です。また、したたかでなければ熾烈な戦争を繰り返してきた欧州大陸において、永世中立を維持することはできなかったでしょう。
我々日本も、スイスにならって製造業を盛り上げていく必要があります。
またスイス同様に製造業立国であるドイツでは、国を挙げての技術政策として、「インダストリー4.0」が提唱されています。
インダストリー4.0とは第4次産業革命ということであり、歴史的経緯を見ると次の様になります。
第1次産業革命
・・・英国発の蒸気機関による手工業から機械工業への転換
第2次産業革命
・・・20世紀初頭に始まるフォードに代表される大量生産
第3次産業革命
・・・メカトロニクスによるファクトリー・オートメーション
第4次産業革命(=インダストリー4.0)
・・・「集中型」システムから「分散型」システムへの転換
従来の工場は「集中型」システムでオートメーションがなされていました。つまりロボットや工作機械は、あらかじめ定められたプロセスにのっとって稼動するわけです。
それに対して「分散型」の生産システムでは、ラインを流れてくる製品とロボットが「会話」をしながらモノづくりが進められます。
例えば昨年視察したメルセデス・ベンツの工場の場合、全ての車体に型式や必要部品・組み立て手順などの情報が、ボックスの中に入ったICタグにメモリーされています。
ロボットはまずICタグの情報を読み取り、それから組み立て・溶接を行うわけです。
「集中型」のシステムでは、手違いで違う車体がラインに流れ込んでくると、そこで作業ミスを起こす可能性が高くなります。
ところが「分散型」のシステムだと、車体とロボットが「会話」をしながら作業を行うので、多品種少量生産でもミスの発生が限りなく少なくなります。
↓↓↓ドイツ視察セミナーのレポート
https://factory-business.com/seisanzai/commentary/greatcompany2013/report1.html
こうした技術の成果として、メルセデス・ベンツの工場では完全受注生産のAMGがライン上を流れていました。
さらに2年前に稼動したばかりのアウディの本社工場は、ロボットを主体としたセル生産システムとなっており、より一層「分散型」システムを推進した超多品種少量対応の工場となっていました。
ドイツがこうした「インダストリー4.0」という概念を提唱、宣伝している目的は、ファクトリー・オートメーションの中心にインターネットを置き、その中でネットワーク規格や機器において、デファクト・スタンダードの座を狙いたいのでしょう。
もちろん同時に、国内において製造業を維持するという強い決意の表れだと思います。
日本においても、私は日々現場に出ているのでよくわかりますが、特に中小企業においてレベルの高い会社が多々あります。
自信と確信をもって、国内で勝ち残るモノづくりを追求していくべきでしょう。
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