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今の時流は“働きがいのある会社”づくり

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人手不足が本格的な社会問題になりつつあります。

あまり新聞では報道されていませんが、某大手牛丼チェーンでは従業員が大量退職し、3割近くの店舗で営業ができない状態になっているといいます。営業している店舗も「人手不足のため15時から18時まで弊店します」というビラを出している店もあります。

この牛丼チェーンはかねてからメニューの多さが売りでしたが、ランチタイム以外の昼間や深夜などは、1人で回すオペレーションをとっており、ただでさえハードワークでした。さらにそこへ牛なべ定食という火をつかった複雑なオペレーションのメニューが加わり、従業員の不満が爆発した、というのです。

低価格メニューを低賃金労働者による長時間労働で提供する、というデフレ型ビジネスモデルは明らかに行き詰まりを見せています。

また都内のコンビニはアルバイトが集まらず、時給1000円以上で募集をかけている、といいます。建設会社の中には人手不足が原因で倒産する会社も出てきています。

今後はさらに人が採りにくくなる、ということでユニクロなども4000人以上の非正規社員を正社員に登用して待遇を改善しました。

世の中の時流がこうした方向に動いている様に思えます。

実際、あらゆる調査において「働きがいのある会社」は好業績である、との結果が出ています。

この、「働きがいのある会社」ランキングを全世界で発表している機関がGPTW(グレート・プレース・トゥー・ワーク)であり、日本においても日本能率協会と日経新聞の協賛により同じ調査が行われ、毎年ランキングが発表されています。

そして全世界の「働きがいのある会社」ランキング上位企業を視察する、という企画が船井総研のグレートカンパニー視察セミナーであり、昨年はドイツの「働きがいのある会社」ランキング上位企業を視察しましたが、今年はアメリカ東海岸を予定しています。

こうした「働きがいのある会社」ランキング上位企業、すなわちグレートカンパニーには次の5つの共通点があります。

1)理念に基づいた経営を行っている。

2)理念が全従業員に共感を持って受け入れられ、顧客からも共感を受けている。

3)その結果、優秀な人材を採用することができ、価格競争に陥らないビジネスモデルになっている。

4)給料をインセンティブにする労務管理を行わない。仕事の報酬は仕事で与える、が原則になっている。

5)好不況の影響を受けず、持続的に成長している。

そして、こうしたグレートカンパニーの多くがオーナー企業です。例えばアメリカの百貨店ノードストロームは、オーナーの息子が親の跡を継ぐかどうか10歳までに決めます。そして親の跡を継ぐと決めたら、10歳からノードストロームで働き始めます。

ノードストロームは“はきやすい靴を提供する”というノウハウ・サービスで成長した百貨店です。一般社員よりも10年早く働き始めることで、こうした特殊スキルをいちはやく習得して、世襲を行いやすくするのです。

企業の目的は「継続」にありますから、グレートカンパニーにはこうした事業永続の仕組みもきちんとできているのです。

今、一般的に世間は好景気です。特に生産財業界は好況です。

ただし現在の好況は“異次元の金融緩和”とそれに伴う“円安”という、かなりいびつな構造の上に成り立っています。

例えばアメリカのドルについて言えば、1995年の流通量を100とすれば、現在の流通量は800です。アメリカがこれだけの量的緩和を行ったから、ほぼ何もしなかった日本は深刻な円高に陥ったのです。日本の通貨流通量は2013年初めまでは、同じく1995年を100とすれば200程度です。

ところがアベノミクスによる異次元の金融緩和によって、この数値がわずか1年後の2014年3月には600にも激増しました。

現在の円安と好況の要因は、この異次元の金融緩和にあります。

アメリカですらQE1(量的緩和第1弾)に始まり、QE2、QE3とプロセスを重ねて800もの数値になったのです。

日本はわずか1年ぐらいで600です。歴史上、ここまでの勢いで金融緩和を行ったケースというのは例が無く、この異次元の金融緩和のいわゆる“出口戦略”は誰もわからない状況です。

歴史に学べ、といいますが、60年に1度くらいの割合で経済的に大きな行き詰まりを迎えています。今から60年前の終戦後は、新円への切り替えで以前のお金の価値はゼロになりました。その60年前の明治維新も、本質は政府の大リストラです。

今までは経済の行き詰まりを戦争で打開してきましたが、人類も進歩していますから現在はそうした雰囲気はありません。経済的な問題を経済的に解決するわけですから、現在の貨幣システムも含め、相当大きな変化が近い将来に起きると考えるのが妥当ではないでしょうか。

しかし経営者が考えるべきことは、仮に国が破綻したとしても、企業まで破綻することは無い、ということです。

実際に生産財業界でもユアサ商事や岡谷鋼機などは300年以上の歴史があります。これらの会社は二度に渡る実質的な国家破綻を乗り越えて現在に至る訳です。

全ては経営者の舵取り次第です。

この2014年10月5日(日)~10月11日(土)の一週間、毎年恒例のグレートカンパニー視察セミナー(アメリカ東海岸)が開催されます。私、片山も講師として本視察セミナーに参加します。

この様な時代だからこそ、ぜひ本視察セミナーに参加いただき、「働きがいのある会社」、さらに自社のグレートカンパニー化を考えていただきたいと思います。

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