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今、求められる「安くつくる」技術

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アベノミクスで“デフレ脱却”と言っていますが、設備過剰のわが国内においては以前デフレ基調です。

わが国に限らず、現在のデフレは100年続くとも言われています。

つまり中小企業の経営における最重要テーマは「デフレ対策」であり、我々部品加工業においては、いかに「安くつくるか」が現在最も重要なテーマなのです。

事実、現在は円安の関係もあって部品加工業において仕事は増加しています。ところが単価が下落しているため、忙しい割に売上が上がらない・儲からないといった現象に、どこの会社も悩んでいるのです。

そうした中、確実に利益を上げている部品加工業の特徴は会社の規模ではありません。「やり方」にあります。

まず、好調な部品加工業に見られる特徴として「複合機」の活用です。複合機とはヤマザキマザックのインテグレックスや、森精機のMTシリーズに代表される旋盤機能とマシニング機能を兼ね備えた工作機械のことです。

こうした複合機は高価ですが、ただしワークがうまくはまれば、多工程にわたる工程を1台に集約できます。その結果リードタイムを大幅に短縮できる上に、設備の稼働時間が伸びますから無人運転がし易くなります。

部品加工業経営研究会の某会員企業は、複合機の活用により取引先の積算リードタイムよりも6割も短いリードタイムで加工を行っている、といいます。従ってお客からは「安い」と思っていただけ、自社も「儲かる」仕事ができます。

また「安くつくる」王道は、社内設備を内製することです。例えば長野県に高島産業、という部品加工業があります。同社はもともと時計部品を手がけていましたが、現在ではITや医療機器を中心に様々な精密加工を手がけています。

そうした同社が開発したのが、卓上タイプのマシニングセンタです。通常の卓上タイプフライスは樹脂・アルミ専用のものが大半ですが、同社の卓上マシニングセンタは鋼・鋳物・セラミックに対応します。主軸はBT15番を採用し、ベッドは大理石ですから剛性があります。

またヘッドを交換することにより研削はもとより放電加工にも対応します。

そして価格は普通のマシニングセンタの半額の600万円です。

まさに「安くつくる」ためのマシンであるといえます。

もともと社内生産用に開発されたマシンですが、現在は外販もされています。自動車部品メーカー大手のデンソーがこのマシンに目をつけ、卓上マシニングセンタでパイロットラインをひいている、といいます。

さらに、「安くつくる技術」は必ずしも設備や設備投資に依存するものではありまえん。

例えば部品加工業経営研究会の某会員企業は「従業員10人」であることの強みを全面に出し、業績を上げています。

その会社では図面から完成品まで、社員1人1人が最後まで完結して対応しています。従って多品種少量生産でも短いリードタイムで対応できる上に、納期管理も容易です。

また1人で完成品まで仕上げる充実度から、仕事へのモチベーションも上がります。数量が多い生産だと分業の方が有利ですが、多品種少量だとこのやり方が有利です。いわばライン式生産に対するセル生産と同じ原理です。

事実、同社ではお昼休みの12時過ぎても作業者が作業を止めず、20分から30分もお昼休みを削るのもザラだそうです。

同社ではこうした多能工の強みに加え、前述の複合機を使いこなすことによって、リーマン・ショックの前よりも現在の方が利益率は向上している、といいます。

こうした事例以外にも、「安く」つくる技術をうまく開発して成果を出されている同業者は多数おられます。部品加工業の経営は「規模」よりも「質」なのです。

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