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新人を営業マンとして「即戦力化」する方法

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私は10年以上、商社・販社など営業会社向けのコンサルティングを船井総研で手がけてきました。

そうした中でわかったことは、「ウチの業界では一人前になるのに10年かかる」と言われている様な業界でも、教育の仕方次第によって半年で採算ラインをクリア、2年もすればベテランと変わらないくらい数字を上げさせることは十分に可能である、ということです。

その為には次の5つのポイントがあります。

まず1番目に、『営業マンは“数字が人格”である』という意識を最初に植え付けることです。具体的には、どんな中小企業でも社員1人あたり月次粗利60万円無ければ赤字です。そして多くの商社・販社など営業会社の場合、従業員の2人に1人が営業マンですから、従って新人であったとして月次粗利120万円が必須となります。こうした数字を最初のうちから徹底して意識させることです。

2番目にルートセールスの会社でも『新規開拓からスタートさせる』べきです。教育は最初厳しく、その後緩めていくのが鉄則です。また「お客は自分でつくるもの」という意識が主体性を生みます。

例えば証券会社で圧倒的トップを誇る野村證券の場合、営業に配属された新人は全員が、まずは新規開拓を行います。しかも駅前から商店街の店・企業に至るまでエリアを決めて全件飛び込み訪問をするといいます。もちろんその中には既存の取引先もあったりして、「ウチはおたくと取引しているよ!」「営業に来る前にきちんと調べろ!」と、その場ではクレームになることもあるそうです。しかし、そうしたことに目をつぶっても最初にトレーニングとしての新規開拓を重視しているのです。これが野村證券が業界トップの営業力を持つ源泉といえます。

とはいえ、普通の会社でこうした飛び込み訪問を新入社員にやらせるのは、あまりにも無理があります。

ですから3番目に『新規開拓ができる仕組み』をつくることです。いかに新規開拓が大事、といってもむやみやたらな飛び込み営業では逆効果です。Web・DM・セミナーの開催、といった手法により、常に新規の見込み客リストが手元にある状態にします。

例えば帝国データバンクや東京商工リサーチといった会社を活用すれば、信用のおける評点以上の企業リストを容易に入手することができます。こうしたリストを活用すれば、与信リスクも低減されます。

もちろん営業ツールの整備も大事です。機械工具商社の場合は“加工品”あるいは“工事”ということになります。こうした“加工品”や“工事”の場合は、自社の加工事例や工事事例をまとめた営業ツールも必要です。

4番目に『新規開拓でPRする商品を絞る』ということです。どの様な業界でも、“ドア・オープナー”と言われる様な商品があります。訴求ポイントが明確で、PRし易くお客の関心を惹き易い商品のことです。こうしたドア・オープナー商品を徹底してマスターさせることです。

例えばある什器メーカーの場合、店頭で“焼き芋を焼ける実演販売用の特別な什器”をドア・オープナー商品として、スーパーマーケットなどに切り込む際に利用しています。

機械工具商社の場合は前述の“加工品”“工事”あるいは自社PBということになります。

5番目に商品とターゲットをきちんと規定した上で「ロールプレイングを徹底する」ことです。ロールプレイングは営業力をアップする上で非常に有効な方法ですが、いまだに「見て覚えろ」というスタイルの会社が多い様です。当然のことながら、体系的に営業テクニックを教えている会社と、旧態依然と「見て覚えろ」というスタイルの会社とでは業績も大きく差が付いてくることは言うまでもありません。

ロールプレイングを行うには次の6つのポイントがあります。

1)指導する側のベテラン営業マンが「お客様役」をやること

2)指導する側のベテラン営業マンも複数人立ち会うのが望ましい

3)「お客様役」と「営業マン役」の机をコの字型に取り囲む様に、立ち会う人が座る

4)チェックシートをつくる

5)想定するターゲット企業の概要シートをつくる

6)ロールプレイングの様子を動画で撮影し、終了後に本人にもチェックさせる

まず上記1)については、これはロールプレイングをする上での鉄則です。ただし指導する側の性格によってロールプレイングが甘すぎたり厳しすぎたりしますから、それを調整する上で、2)に示す通り指導側も複数人立ち会うべきでしょう。

また3)の配置にすることにより、営業マン役の新人は本番以上に緊張します。つまりロールプレイングがこなせる様になれば、実戦もこなせる様になるわけです。

また4)に示す通り、話すスピードや声の大きさ、伝わりやすさ、視線といったチェック項目を五段階評価でチェックする様にして、点数づけをすると良いでしょう。また5)の様なシートをつくり、ターゲット企業像を明確にすることも必要です。

そして最後にロールプレイングの様子を撮影した動画で、自分自身の振り返りを行います。当然のことながら、自分がどの様に相手から見えるのか・伝わるのかは自分ではわかりません。最近ではスマホなどで簡単に動画が撮れますから、私もコンサルティングでよく活用しています。

この様な取り組みの結果、「1人前の営業マンになるのに7年はかかる」と言われている機械工具商社の場合でも、早い人なら半年くらいで成果を出しますし、何よりも「お客様は与えられるものではなく、自らつくるもの」という意識が徹底されます。その結果、2~3年もすると動きがマンネリ化しているベテラン営業マンよりも数字を上げ始める若手営業マンも出てくる様になります。

「鉄は熱いうち打て」といいますが、何事も最初が肝心です。上記5つのポイントで新人営業マンの即戦力化を考えていただきたいと思います。

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