注目のキーワード

先端「町工場」視察セミナーin関東2014より

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

先週3月7日金曜日、半年に一度恒例となっている、先端「町工場」視察セミナーin関東2014が開催されました。

今回は㈱ジェイ・エム・シー様と㈱深沢製作所様の2社を視察しましたが、この両社から学んだことを今回はレポートさせていただきます。

 

視察1社目:最新技術と営業力で業績を伸ばす ㈱ジェイ・エム・シー(従業員35名)

近年注目を集める最新技術に「3Dプリンタ」がありますが、同分野で日本一の実績を誇るのが神奈川県横浜市に本社のある㈱ジェイ・エム・シーです。

同社は従業員35名、平均年齢31歳と若い会社ですが、年商8億3000万円、経常利益1億円と加工業の中でも平均的な指標の倍以上の生産性を誇り、またここ4年間で年商を2.5倍に伸ばす高成長企業です。

同社は「3Dプリンタ」という最新技術を武器にしながらも、

・見積り回答1時間以内

・365日稼動サービス

・1社1回限りのお試し無料造形サービス

をUSP(ユニーク・セリング・プロポーザル:自社独自の提案)としています。

USPといえばアスクルの「今日頼んだら、明日来る(=アスクル)」や、ドミノピザの「30分以内に届けられなければ商品は無料」といったものが有名ですが、技術を売りにする製造業の場合においても、こうしたUSPを設定した方が営業はし易くなります。

同社の渡邊社長によると、近年の3Dプリンタブームにより他業界からも参入が相次ぎ、既にこの業界も価格競争に陥っている、といいます。そうした価格競争を回避するためにはUSPの設定が必須だというのです。

こうしたUSPの設定に加え同社では営業に注力、営業と製造の人員比率は1:2と、普通の製造業では考えられないほど営業人員を多く配置しています。

また同社は商品戦略も明確です。同社では3Dプリンタによる造形を「集客商品」と位置づけ、「主力商品」としてはロット10~100個の鋳物量産加工を位置づけています。3Dプリンタは主に“試作”に使用されます。つまり“試作”の受注でお客に入り込み、そこから鋳物という“量産”の仕事につなげているのです。こうした明確な商品戦略が同社の高い生産性の裏側にあります。

技術力だけでなくUSP・営業力・商品戦略が明確な同社は、これからの製造業・町工場のモデル企業であると言えるでしょう。

↓↓↓先端「町工場」視察セミナー1社目 画像と詳細

https://factory-business.com/blog/712/

視察2社目:おもてなし町工場 ㈱深沢製作所(従業員43名)

小売業やサービス業においては女性的感覚が重視されますが、業績を伸ばす上で製造業においても同じことが言える様です。

例えば視察2社目のプレス加工会社、㈱深沢製作所(従業員43名)は、女性的感覚を重視する町工場です。

同社は工場見学の受け入れを重視していますが、同社のエントランスに入ると音楽と同社のオリジナル映像に迎えられます。また工場見学前の説明を受ける会議室の前にはお茶やお菓子が並べられ、まずはフリードリンクとお菓子を食べてから説明を受ける流れになっています。

欧米企業を視察するとこうしたサービスはよくありますが、日本の製造業、特にこの規模の町工場では非常に珍しいと言えます。さらにお菓子は高級ホテルの手作りのお菓子です。工場の中も整理・整頓が行き届き床もピカピカ、社員も明るく大きな声であいさつをしてきます。まさに「おもてなし」工場です。

こうした「おもてなし」の教育は同社社長の奥様が行っていますが、「お客様に不安を感じさせないことが何よりのサービス」と同社の社長は言われています。「お客様に不安を感じさせない」という観点で、納期管理や品質管理にも万全の体制が施されています。もちろんISO9001シリーズを取得し、高いレベルでの生産管理を強みとしています。

同社は高い板金加工・プレス加工技術を持っているものの、決定的に差別化された生産設備を持っている訳ではありません。しかしこうした取り組みが取引先から評価された結果、年間2000種類以上もの試作案件が持ち込まれています。

またドイツやアメリカなど海外からも同社への見学依頼が多く舞い込み、同社はプレス加工における国内モデル工場の1つになりつつあります。

アベノミクスの成長戦略では「にいまる・さんまる」という、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする目標を掲げています。

同社の事例を見ていると、男性にはとても気が及ばない「女性的感覚」が業績向上に結びつくこと、また成長戦略の女性活用が経済を活性化させるということも、強く納得できるところです。

↓↓↓先端「町工場」視察セミナー2社目 画像と詳細

https://factory-business.com/blog/724/

 

今回視察した2社に共通することは次の5点です。

1)コンセプトが明確である

ジェイ・エム・シー様は「3Dプリンタ加工とUSP」、深沢製作所様は「まだ金型を使いますか?」ということで、自社のコンセプトが明確。

2)集客商品から主力商品への流れ

ジェイ・エム・シー様は「3Dプリンタ」から「量産鋳物」、深沢製作所様は「試作板金」から「簡易型量産」ということで、商品戦略が明確。

3)工場見学への受け入れを重視している

4)教育に熱心、特に多能工の育成に注力

5)新卒採用に力を入れている

今回の先端「町工場」視察セミナーからも、これから国内で勝ち残り、業績を上げていくヒントが多く得られたと思います。

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

関連記事

アクセスランキング

製造業・工場経営.comを運営する船井総合研究所が提供する各種サービス

ものづくり経営研究会オンデマンド
ものづくりグロースクラウド

無料経営相談の
お問い合わせ