昨年9月の尖閣問題から約半年はリーマン・ショック時並みの非常に厳しい市況でした。しかし今年10月くらいからは本格的に市況が動いてきた感があります。
事実、生産財業界の市況を大きく反映する工作機械受注もこの10月から大きく改善しています。この2013年10月の工作機械受注は1022億4200万円で全体としては昨年対比プラス、内需が40%プラス、外需は5%のマイナスでした。さらに11月の工作機械受注は1017億2600万円と全体が2ヶ月連続で昨年対比プラス、内需がやはり40%プラス、外需も3%プラスということで、外需について言えば14ヶ月ぶりに昨年対比プラスにつけました。
こうした一連の動きの要因は全て「円安」に帰結します。日本やドイツは根本的に資源を輸入して付加価値をつけて輸出する、という「輸出立国」が根本的なビジネスモデルです。従って経済全体で見れば絶対に「円高」よりも「円安」の方が国は豊かになり、景気も良くなります。
ではなぜ、ここにきて「円安」になっているかというと、日銀の金融政策が自民党政権になってから大きく変わったことが挙げられます。リーマン・ショック以降、アメリカはQE3に代表される大幅な金融緩和をずっと行なってきました。金融緩和とはすなわち、お金を大量に印刷することです。変動相場制の今日において、アメリカが大量にお金を刷っているのに日本が何もしなければ、当然のことながらドル安・円高になります。しかし日銀には金本位制時代のアレルギーがあってなのか、ずっと金融緩和に踏み切ることはありませんでした。また民主党政権もそれを実行させる見識もリーダーシップもなかったわけです。
ところが自民党政権となり、アベノミクスで異次元の金融緩和(=お金を大量に刷る)を行なうことで徐々に円高が是正され、現在の1ドル100円を越える円安となったのです。
またアメリカでシェールガス革命が起こり、アメリカの国策としてドル高を容認する動きも円安に追い風となっています。従って部品加工業界・生産財業界はこれから景気も上向いていくと思われます。
ただし、来年4月の消費税アップによる駆け込み需要の反動が危惧されています。また工作機械受注高の内需のアップは、ものづくり補助金によるミニバブルだとの見方もあります。事実、全ての会社の業績が上向いているわけではなく、相変わらずヒマだという町工場も数多くあります。これをどう見るべきか、またどの様に対策を考えていくべきなのでしょうか?(次回に続く)
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