先日、ある地方都市の商工会議所主催の新年会で講演をする機会がありました。この地方都市でも例年になく、今年は良い雰囲気だといいます。
その理由は全て「円安」にあります。
いかに製造業が海外移転したとはいえ、日本は原材料を輸入して付加価値をプラスした上で輸出することを、基本的なビジネスモデルとしている国です。従って国全体で見れば「円安」は大きな効果をもたらします。
そして今「円安」になっている理由は、政府と日銀が進める「異次元の金融緩和」にあります。すなわち円をどんどん刷り、市場にばら撒くことです。
例えば今年の製造業向け政府施策の目玉は、ものづくり補助金です。今年は昨年の2倍の2200億円の予算がつき、1件2000万円の設備投資補助金が配られます。
また地方銀行を始めとする金融機関も、金融庁からの指導によりドンドン中小企業にお金を貸し出しています。前述の新年会で地方銀行幹部の方と話をしましたが、ここ数年の金融庁の姿勢の変化に驚いている、と言っていました。
今までは不良債権処理をうるさく言ってきたのに、今はドンドンお金を貸し出せ、と。
現在の変動相場制の下で日本がアメリカ以上に紙幣を刷れば、需要と供給のバランスで当然円安になります。
今、アメリカFRBで議長を務めているバーナンキ氏は、日本のバブル崩壊を徹底的に研究した、いわばバブル崩壊対応のプロです。
そのバーナンキ氏が出した結論は、とにかくバブル崩壊の際には金融緩和をすること、つまり紙幣を刷りまくることが最善の解決策、ということでした。
その結果がアメリカのQE3など、一連の金融緩和です。
日本の異次元の金融緩和もこれにならったものです。
では、その金融緩和の行き着く先はどうなるのか?それがいわゆる「出口戦略」と言われるものですが、その行き着く先がどうなるのかは誰もわかりません。
「歴史は繰り返す」という格言に従うとするならば、紙幣そのものが紙屑になる可能性も否定できません。
例えば金の価格。ここ最近は相場が下がったとは言え1gが4000円前後と、10年前の4倍近い高騰であることには変わりがありません。
なぜ金の相場が上がるのか?中国が金を買い占めているなど様々な要因がある様ですが、一言で言えば紙幣の信頼性が低下しているから、ということになるでしょう。
ではこうした時代に中小企業が取り組むべきことは何か?
それは自社の商品・サービスをブランド化し、自社の商品・サービスに普遍的な価値を持たせることです。
こうした「ブランド化」に古くから積極的に取り組んできたのが、ドイツ・フランス・イタリア・スイスといった欧州先進国です。
欧州は日本と違い、お互いの国同士が地続きです。その結果、古くは百年年戦争、三十年戦争からナポレオン戦争、さらには第一次・第二次大戦に至るまで、幾度と無く地上戦が行われその度に都市は灰燼に帰しました。
そもそも国そのものが不安定で、ドイツ・イタリアなどは現在の国の形になってから200年程度の歴史しかありません。
この様にいつ戦争が起きて国が崩壊するかわからない、自国通貨も信用できない、という環境の中で欧州企業が取り組んだことは「ブランド化」です。
イタリアやドイツなど、小国が寄せ集まったもともと政治的に不安定な国で「ブランド」が多いのはそういう理由があるのです。
こうした欧州先進国の中で、特に注目すべき国はスイスでしょう。
日本同様に資源が無く、彼らがまず最初に産業として始めたのは「傭兵」でした。中世の百年戦争や三十年戦争で王侯貴族に雇われて最前線で戦ったのはスイスの傭兵です。
また、バチカン市国のローマ法王庁を警護しているのは現在でもスイス軍ですが、これもかつてバチカンに傭兵として雇われていた時代からの名残です。
次に、彼が目をつけたのが時計産業です。
時計は大きくありませんから、スイスの様な山岳地帯でも生産することができます。さらに当時の時計は王侯貴族しか身に付けられない超高級品でした。つまり商品そのものに普遍的な価値を持たせ、ブランド化することができたのです。
そして経済の近代化とともに、彼らは銀行業に乗り出していきました。傭兵や時計と同じく、王侯貴族や大富豪を相手にするプライベートバキングです。
かつて「スイス銀行」と言えば、絶対に顧客の守秘義務を漏らすことの無い世界唯一の銀行として、非常に高いブランド力を持っていました。あのナチスでさえ、スイス銀行の口を割らせることはできなかったと言われるくらいです。
この様に、「価値」「ブランド」を追求し続けたスイスは、先進国の中でも一際目立つ存在です。例えば・・・
・国際競争力ランキング5年連続首位(世界経済フォーラム発表)
・人口あたりの株式時価総額圧倒的世界No.1
・国際人材競争力指数世界1位
・幸福度ランキング世界3位
・一人あたりGDP世界4位
といった、非常に競争力・優位性の高い国なのです。
さらにスイスには世界ブランドの企業が数多く存在します。
内陸国であり海運をドイツ、フランス、イタリアといった隣接国に依存せざるを得ないという、他国よりも輸出入が厳しい地理的条件でありながら、です。にも関わらず、世界最大の食品・飲料会社「ネスレ」、革新的な医薬品を提供し続ける「ノバルティス」、高級時計メーカー「ロレックス」、世界中のセレブに愛され続けるスキンケア企業「ラ・プレリー」、世界的なプレミアムチョコレートメーカー「リンツ」、など、世界をリードする国際的競争力の高い企業が数多く生まれています。
なぜ、スイス企業は、地理的に不利な環境にありながらも、高い国際競争力を実現できているのでしょうか?私は、スイスが内陸国という不利な環境だったからこそ、企業には価格以外で競争力を高める戦略を選択せざるを得なかったという背景があり、それがスイス企業の「高価格」「高品質」ブランディング戦略を育成してきたのではないかと思います。
今こそ私たちも、スイス企業に学ぶべき点が数多くあるのではないでしょうか。
そこで船井総研では、スイスの世界的なブランド企業を視察する
『スイスブランド企業視察セミナー』を企画いたしました。
↓↓↓スイスブランド企業視察セミナーの詳細
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/314195.html
もちろん、私、片山も本視察セミナーに同行、皆様をご案内させていただきます。
今回の視察セミナーではチューリッヒ・バーゼル・ジュネーブ・モントルー・ローザンヌ・ベルン、さらに時計産業の街ラ・ショー・ド・フォンといったスイスの各都市を回り、世界的に有名なスイスブランド企業各社を視察します。
<日時・訪問都市>
2014年5月18日(日)~24日(土) <7日間>
チューリッヒ・バーゼル・ジュネーブ・モントルー・ローザンヌ・ベルン
<主な視察先企業>
UBS AG、リンツ、ABB、ノバルティス、ラ・プレリー、ネスレ、IMD、ル・ロゼ、ロレックス、パテック・フィリップ、国連欧州本部パレ・デ・ナシオン
※視察先企業はアポイントの関係で変わることがあります。
今回の視察セミナーも早い段階での満席が予想されます。
ぜひお早めに本視察セミナーへのご参加をご検討いただければと思います。
↓↓↓スイスブランド企業視察セミナーの詳細・お申し込みはこちら
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/314195.html
製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る