船井総研社長の高嶋は、よく“あり方”と“やり方”の話をします。その会社の“あり方”が不明確なのに、いくら“やり方”(=ハウツー)を駆使しても業績は上がらない、と言います。
確かに私たちが行なう現場コンサルティングにおいて、社長の考える“あり方”と、コンサルタントが提供する“やり方”がかみあわなければ、業績が向上することはありません。
この“あり方”というのは、その会社の「経営理念」であり「経営ビジョン」です。すなわち社長の「実現したいこと」が“あり方”です。
私も業績アップコンサルティングを行なう上で、まず明確にすることはこの社長の考える“あり方”であり、それを明確にする上でヒントになるのが、その会社の歴史です。
ですから私はどの様な依頼内容であっても、まずはその会社の創業からの歴史をお聞きする様にしています。
業績アップのコンサルティングを行なうのに、うちの会社の歴史を聞いてどうするの?という反応をいただくこともありますが、その会社の“あり方”や将来のビジョンを把握する上で、その会社の歴史を知ることが必須なのです。
こうした“あり方”と“やり方”が大切なのは、中小企業だけでなく世界的な多国籍企業であっても同じことです。
例えばかつてアメリカにAT&Tという世界的な大手通信会社がありました。同社は1980年代に2000年代におけるアメリカの携帯電話市場についての調査依頼をあるシンクタンクに行いました。
その結果はわずか10万台の需要しかない、との調査結果でした。
そこでAT&Tはこの調査結果をもとに携帯電話に関する全ての研究開発をとりやめ、同分野から撤退しました。
その後の市場の変化は皆様もご存知の通りです。
その後、市場の変化に乗り遅れたAT&Tは経営が悪化、地域通信会社大手のSBCに買収され、現在ではブランド名のみが残るだけです。
未来予測は難しいものです。
携帯電話をやるか、やらないか、という決断は同社にとって“あり方”だったはずです。
有名な寓話に「裸足のアフリカ人に靴を売る」という話があります。裸足で暮らすアフリカ人を見た靴を売るセールスマンが、ある人は「裸足で暮らす様な人に靴は売れない・・・」とがっかりし、またある人は「誰も靴を持っていないからビジネスチャンスだ!」と大喜びした、という話です。
この様に見る人の視点によって、チャンスはチャンスになることもあれば、ならないこともあるのです。
この様に“あり方”は自分自身で決めることですが、“やり方”についていえばプロの意見に耳を傾けるべきでしょう。
例えば法人営業の世界においても、現在ではインターネットによるマーケティング活動が必須事項になってきています。
また船井総研の中には、B2Bビジネスにおいてもフェイスブックによるマーケティング成功事例が出てきています。
こうしたWebマーケティング(=やり方)などは、特にプロのアドバイスを参考にするべきだと思います。
さらに“見せ方”というのもあります。
例えば自社の会社案内・カタログ・ホームページといったツール関係です。特に新規開拓の場合、大手企業に取引口座ができるかどうかは、担当当事者同士だけの話ではなく、資材部門など別部門がからむことです。
従って「この会社と新規取引してメリットがある」と思わせるツールを完備しておかなければなりません。商品だけで競合他社と差別化が難しい中小企業ほどツール関係、すなわち“見せ方”が大事です。
“見せ方”は迷わずプロに相談するべきことでしょう。
何が自分で決めるべき“あり方”で、何が“やり方”“見せ方”なのか、リーダーが常に意識することだと思います。
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