今、製造業の世界で急速に注目を集めているのがクラウドファンディングです。
これは「クラウド」と「ファンド」を掛け合わせた造語であり、文字通りWeb上で(=クラウド)不特定多数の人に対して、資金調達を募る(=ファンド)というものです。
アメリカでは、このクラウンドファンディングを活用して資金調達を行い、自社商品の開発に取組むベンチャー企業が増えています。
例えばアイフォンと接続が容易で、自分のアイフォンへのメール着信や電話着信を伝える腕時計は、資金調達目標10万ドル(=約1000万円)に対して1000万ドル(=約10億円)を超える資金をクラウドファンディングで集めました。
またアイフォンと同じくスマホのアンドロイドを活用した家庭用ゲーム機は860万ドルもの資金を調達。さらに簡易3Dプリンタの某メーカーは開発資金として10万ドルの調達予定を大幅に上回る300万ドルもの資金を調達したといいます。
世界にはこうしたクラウドファンディングのWebサイトが450以上あるといわれ、2012年の市場規模が2200億円に対して2013年は5100億円、また2014年は1兆円を超える成長が見込まれるとされる分野です。
前述の新製品の部品をみると、主要部の大半に3Dプリンタが活用されています。
従来であれば金型をおこし、ある程度以上のロットが見込まれなければ生産することが不可能であった樹脂部品です。
現在は言うまでもなく、3Dプリンタを活用すれば小資本でも1個から部品を生産することができます。
クリス・アンダーソン著「メーカーズ」で指摘されている通り、これからの製造業の成功要因は資本ではなく、知識になるのです。
日本においても、こうしたクラウドファンディングの活用事例は増えています。
例えば神奈川県の中堅プレス会社はクラウドファンディングを活用して200人の支援と百数十万円の資金調達に成功し、アイフォン周辺アクセサリーの販売を事業化しています。
同社は日本だけでなく海外からも引き合いを集め、またこの取り組みがきっかけで本業の金型・プレス加工も引き合いが増えたといいます。
また同じく神奈川県の某試作会社は町工場数社とタッグを組み、3Dプリンタ技術を中核にホビー用知能ロボットの開発・製造・販売をクラウドファンディングで行なっています。
3Dプリンタはブームあるけども、実際には中々直接の仕事には結びついていない、というのが多くの製造業・生産財関係者の意見でしょう。
しかし実際に欧米においては、3Dプリンタ技術を軸にWeb上で不特定多数の人から数十億円調達する、という事実が実際に起きています。日本ではまだ数百万円というレベルで、欧米のそれと比較すると1/10~1/100のレベルに過ぎません。
しかし前回のレポートでも書きましたが、今は60年に1度の大きな変革期で、そうした時代に差し掛かってからまだ数年です。
↓↓↓前回のレポート
https://factory-business.com/blog/610/
我々、製造業・生産財関係者としては、こうした小さな動きを見逃すべきではないでしょう。
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