アメリカの世界的電機メーカーであるゼネラル・エレクトリック(GE)は今年に入り、「インダストリアル・インターネット」という概念を提唱しています。
今まで、人類は60年ごとに技術革新の歴史を繰り返してきました。振り返ってみると、
・1780年-1840年:産業革命
・1840年-1890年:鉄道建設
・1890年-1950年:電気・化学・自動車・
・1950年-2010年:コンピュータ・IT
そして、2010年-2070年までの60年が、
「インダストリアル・インターネット」の時代、だというのです。
インターネット技術はここ数年で飛躍的に進化しました。
具体的には、
1)ワイヤレス技術
2)クラウド・ビッグデータ技術
がその象徴的な技術です。
これら技術により屋外で高速インターネットを利用することが当たり前になりました。
こうした技術により発電プラントのモニタリング、あるいは航空機エンジンのモニタリングをワイヤレスで行なうことが可能になります。またクラウド・ビッグデータ技術により長期間にわたる膨大なデータから分析・予測を行なうことで、例えばガス火力発電プラントでいえば15年間で600億ドル(約6兆円)もの燃料費を削減できるといいます。
さらにGEによれば、世界経済の46%(GDP換算で32.3兆ドル)におよぶ産業がメリットを享受できるといいます。
こうしたインターネットの技術は、欧米においては我々の想像を超えるインパクトを与えている様です。
例えばニューズウィークは、既にアメリカにおいて紙媒体は廃版となり、電子版しかありません。シカゴ・トリビューンやロサンゼルスタイムスなど、名門地方紙も多くがインターネット新聞に押されて倒産しました。
さらに米国最大の書店チェーン、バーンズ・アンド・ノーブルでは、ニューヨークタイムスを1年間定期購読した読者に対して、無料でアマゾンのキンドルを配布しています。
これはニューヨークタイムスの印刷所を1年間維持するコストと、キンドルを全ての購読者に配布するコストを比較すると、後者のコストは前者の1/4で済むことがわかったためです。
今さらながら、インターネットが与えるインパクトは私たちの常識を超えるものがあります。
それにひきかえ日本国内をみると、会社そのものは立派なのにインターネット戦略、具体的にいえば自社ホームページについては、びっくりするほどお粗末なケースが多々あります。
また苦戦している会社ほど、こうしたインターネット・リテラシーが弱い傾向にある様です。
先日もある中堅の鉄工所の経営相談で訪問してきましたが、壁には大きく「良い仕事が最大の営業」という紙が貼られていました。ところがこの会社の売上はピークの6割前後。取引先はここ10年間ほとんど変わっていません。
日本国内の製造業の出荷高は、2000年を100とすると、2010年には65%までに落ち込んでいます。つまり何もしなければ売上はピークの6掛けにまで落ち込むのは当然のことです。
また、いくら「良い仕事」をしていたとしても、それが世間にきちんと告知できていなければ新しい仕事は入ってきません。
営業面においても生産面においてもインターネットの活用が不可欠の時代になりつつあります。また前述の通り2010年から根本的な技術革新が世の中で起きているわけですから、当然のことながら経営者として自社にどう展開してくべきなのか、これから改めて考えていくべきでしょう。
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