ドイツグレートカンパニー視察セミナーを行って改めて感じたことは、ドイツという国は改めて「認識論」の国だということです。ドイツだけでなく欧州そのものが「認識論」の国、と言えるかもしれません。
「認識論」とは言い換えると哲学です。例えば意識とは何か、時間とは何か、空間とは何か、といったことです。
欧州の「認識論」に対して、アメリカは「プラグマティズム」の国であると言われます。プラグマティズムとは”現実主義”という意味です。
例えばアメリカの士官学校ではクラウゼヴィッツの”戦争論”についての講義はほとんどされない、といいます。クラウゼヴィッツはドイツの将校で、”戦争論”は「戦争とは何か」「その本質は何か」と徹底的に掘り下げていった本です。アメリカの士官学校で教えるのは、あくまでも実践的な戦術論・作戦立案・実行論であって、「戦争とは何か」といった話など、どうでも良いようです。
また、ドイツにはカント・ヘーゲル・ニーチェ・ヴィトンゲシュタインといった哲学者、またフランスにもサルトル・カミュ・フッサールといった著名な哲学者がいるのに対し、アメリカにはそういった哲学者はほとんどいません。強いて言えば教育学者で有名なデューイくらいでしょう。
そして、日本・中国といった東洋思想の場合はどうでしょうか。儒教や朱子学・陽明学といった東洋思想は「実践」が大切なテーマであり、いかに生きるか、といったことが主なテーマであるといえます。例えば陽明学の「知行合一」や、また言志四録の「志(こころざし)」といったキーワードからも、そうしたことが読み取れます。
その国を知るために、その背景の歴史・思想を押さえておくことはとても大切なことだと私は思います。
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