生産財業界の流通が大きく変わろうとしています。
まず製造業国内出荷高の減少です。今年1~6月の製造業国内出荷高をみると、ほとんどの産業において出荷高が減少していることがわかります。特に今まで生産財業界を牽引してきた自動車(=輸送機械工業)が昨年対比90%、IT(=情報通信機械工業)が昨年対比73%と大きく減少していることがわかります。
これはかねてから申し上げてきた、産業構造の変化です。事実、細かく分類を見ていくと、「航空機製造業」「医療機器製造業」は昨年対比で120%の高い伸びを示しています。
実は、小売業もそれほど伸びていません。この5月から昨年対比でプラスに転じたものの、1%に満たない小さな伸びでしかありません。ただしコンビニは新規出店があるため、昨年対比で売上を伸ばしています。また通販も同様です。ちなみにアベノミクスで伸びたのは住宅着工件数だけです。住宅着工件数は例えば今年6月で115.6%という高い伸びを見せています。
話を生産財業界に戻しますが、こうしたことから例えば機械工具商社の場合でも、この上期は全国的に昨年対比マイナス10%といったところが、平均的な業績といえるでしょう。
こうした中、多くの機械工具商社の経営者が真剣に考えていることは次の3つです。
1)M&A 2)海外進出 3)ネット販売
M&Aというのは、例えば加工会社や工事会社のM&Aということです。現在の様な市場縮小期は「業態付加」「垂直統合」が戦略の基本です。すなわちお隣の業界の仕事を取り込んでいく、ということです。
先ほど、多くの機械工具商社のこの上期の業績は昨年対比で10%減と言いましたが、もちろん昨年対比でプラスにつけている会社もあります。そうした会社の共通点は「エンドユーザーに対してソリューション(加工・工事・エンジニアリング・メンテナンス)」が提供できている、という点です。
また多くの経営者が海外進出を検討しています。ただし海外進出で最も大切なことは「明確な目的」ということです。例えば自社の主要取引先が自動車業界であれば、タイやインドネシアへの進出も意義があるかもしれません。ただし海外の場合は物販だけではユーザーニーズを満たせません。いずれにせよ前述のソリューションが求められるでしょう。
またネット販売も、これからいよいよ地域密着型の販売店も多く取り組んでいく時代になると思います。もちろんアスクルの様な総合型通販を目指すのは、小資本では無理があります。
しかし営業所を出す感覚でネットの世界に進出する、というのは地域密着型販売店の発送としてOKなのではないでしょうか。
つまりネット販売で数百億円の年商を狙うのではなく、3億円の売上がつくれればよい、と割り切った考え方です。3億円といっても機械工具商社でいえば1つの営業所レベルの売上です。
では大手ネット通販各社が存在する中で、地域密着型販売店がどの様にネット販売に取り組むのか?そのヒントはBtoCにあります。我々BtoBの世界よりもネット販売が成熟しているBtoCネット販売には、かなりニッチなものが数多く見られます。
例えば「雨水タンク通販」です。どこから買えばよいかわからず、また昨今の省エネブームで注目されている商品が雨水タンクです。この雨水タンク通販をインターネットで行っている某社は、社員十数名のビルダーです。それでも月次1000万円以上をこのサイトは売上いています。
また「お祭りグッズ通販」というのもあります。これはハッピやおみこし、のぼりなど、文字通りお祭り用品を扱っている通販サイトですが、月次3000~4000万円の売上をつくっています。
前述の通り、「営業所を出す」という感覚で捉えるならば、ネット通販の売上は年商3億円でもよいのです。仮に粗利率が10%であったとしても、年商3億円を3名で回すことができれば十分に利益が残ります。
またBtoBの世界は、まだまだBtoCの様なニッチ商材サイトは見当たりません。年商数億円にしかならないニッチ商材サイトは、ネット通販大手も攻めてきにくい、まさに空白マーケットであるといえます。
今は時代の転換点です。大きく自社の戦略・ビジネスモデルを見直していくべきでしょう。
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