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「産業構造の変化」と「景気循環」

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この9月で多くの企業で2013年度上期がしまります。生産財業界・機械工具業界におけるこの上期の企業業績は、平均的に昨年対比1割マイナスから2割マイナスです。
昨年の9月から半年間は、生産財業界にとって実質リーマン・ショックの時と変わらない市況でした。それが改善してきたのが円安効果が利き始めた6月からであり、昨年の4~9月は比較的市況が良かったことから、こうした業績に着地したのだと思います。
特に苦戦しているのは「自動車業界」です。東北エリアでも愛知エリアでも、さらに九州エリアにおいても明らかに自動車関連の仕事量が落ちています。その要因は産業構造の変化にあります。
かつての自動車産業は日本でつくり、海外で売る、というビジネスモデルでした。現在の自動車産業は、海外売れるものは海外でつくる、というものです。
そうした視点で考えると、現在、日本国内で売れている自動車の台数は年間600万台です。それに対して国内生産台数は1000万台ですから、国内における自動車生産はさらに減少します。さらに国内における自動車生産能力は年間1500万台と言われており、明らかに国内は設備過剰の状態です。
事実、最近自動車関係の設備投資で決定が遅れがちになり、いつも納期が厳しい、という事案がよく見られます。これは設備投資計画を上申しても、経営トップから「遊休設備を活用できないのか?」というダメ出しが出ているからだと、私は思います。
またこうした自動車関係の設備投資というのは、ほぼ海外案件です。前述の理由で、多くの会社が国内での設備投資に及び腰になっているのです。
また、IT業界の構図も大きく変わりました。例えばかつて、半導体ステッパー(露光装置)で世界シェアの8割近くをとっていたニコン・キャノンは、今や2割程度のシェアしかありません。今、世界シェアの8割近くをとるのはオランダのASMLという会社です。このオランダのASMLは、ドイツのツァイス・シーメンス、オランダのフィリップスといった欧州有力企業の合弁会社です。
かつて韓国で通貨危機が起きた際、日本メーカーは皆手を引きました。その中で、政府保証を取り付けて攻めたのがオランダのASML社だったのです。
現在、半導体の世界は、アメリカのインテルとクアルコム、韓国のサムソンが3強です。このうちクアルコムは台湾のTSMCに生産受託をしていますから実質、インテル・サムソン・TSMCが世界の3強なわけです。そしてサムソン・TSMCに深く入り込んでいるのがASMLなのです。
こうした半導体業界の構造の変化は、日本の東京エレクトロンとアメリカのアプライド・マテリアルズの合併に及びました。この新たな新会社の世界本社はオランダに置かれます。ASMLを強く意識してのことだと思います。
実際には今、村田製作所やローム、太陽誘電、さらに東芝四日市といったスマートホン関連の電子部品は、おおがかりな設備投資を行っています。事実、IT関連の会社には仕事が戻ってきています。しかし根本的には前述の様に業界の構図が変わっており、日本メーカーは相対的に不利な状況です。従って中長期的に、IT関連も自動車同様に国内生産は縮小傾向になるものと思われます。
つまり今までのレポートでも申し上げている様に、今まで生産財マーケットを引っ張ってきた「自動車」「電機」「IT」は右肩下がりになっており、これから伸びてくる(国内に残る)のは「医療機器」「エネルギー」「社会インフラ」「航空機」「三品産業(食品・医薬品・化粧品)」と、考えなければいけません。
実は今が時代の転換点です。
有名な景気サイクルに「ゴンドラチェフの波」と言われるものがあります。これはロシアの経済学者の名前を冠した景気サイクルですが、資本主義経済が50~60年ごとに大きな景気変動を繰り返す、という理論です。これは「技術革新」あるいは「戦争」によって引き起こされるものだといわれていますが、同理論によると以下の通り時代を捉えることができます。1780年-1840年 産業革命1840年-1890年 鉄道建設1890年-1950年 電気・化学・自動車1950年-2010年 コンピュータ・IT2010年-2070年 インターネット・新エネルギー?
2010年からの新たな波は私の予測ですが、本格的にインターネットが産業界で用いられるのはこれからでしょう。
例えばアスクルが工場向け機械工具通販に参入しました。今、アスクルの機械工具の品揃えは50万点にも及びます。モノタロウの品揃えが300万アイテムですから、参入半年でアスクルがいかに追撃してきているかがわかります。
また、新エネルギーというのはシェールガスです。新エネルギーが世の中にインパクトを与えるとすれば、経済はデフレになります。デフレは「買い手に天国、売り手に地獄」とも言われますが、独自技術の無い会社・独自商品の無い会社が大苦戦するのがデフレ時代です。
逆にデフレを乗り切る唯一の対策は「研究開発」であり、独自技術・独自商品の開発です。
さらに最低限求められることは、新規優良顧客の開拓です。新規開拓の手法も独自技術です。ところが多くの会社で、新規開拓が重要なことはわかっていても、具体的な一歩が踏み出せていません。経営陣は今が時代の転換点であるとの認識のもとで、新たな営業手法・新規開拓の手法を取り入れていくべきだと思います。
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今や時代の転換点で、従来からの延長線上では生き残れない可能性が高いのです。
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