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産業構造のシフトに対応できる会社が生き残る(2)

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某大手伝導商の幹部の方が、「明らかに7月くらいから動きがでてきた」と、言われていました。いわゆる伝導商で動きが出てきた、ということは中小セットメーカーに仕事が入り始めた、ということです。
円安に加え、スマホを中心としたIT関係の設備投資が生産財業界にもプラス要因をもたらしている様です。
ただし、国内の生産財マーケットは明らかに縮小に向かっていることは間違いありません。前回のレポートでも述べた通り、従来生産財マーケットを牽引してきた「自動車」「電機」「IT」が右肩下がりの市場縮小・海外移転となり、これから台頭してくるのは「医療機器」「エネルギー」「社会インフラ」「航空機」であり、堅調なのが「三品産業(=食品・医薬品・化粧品)」です。
ここ2年くらいずっとIT関係が不調であったため、IT業界で仕事をしていた加工業者も、医療機器業界や三品産業を攻めていました。ところがIT関係の仕事が増えてきたため、こうした加工業者も医療機器業界や三品産業の仕事を切って、再びIT関係の仕事に戻っている、という話もききます。
しかし根本的に、私が先ほど述べた産業構造の変化に変わりはありません。自動車産業は現地生産の流れが止まらないでしょう。マス・プロダクションの電機も先進国でつくっていてはコストが合いません。またITは非常に変化の激しい業界です。
例えばステッパーといわれる半導体露光装置の業界において、かつてはキャノン・ニコンなどの日本メーカーが市場の8割近いシェアをとっていました。今は逆に2割くらいのシェアしかないといいます。現在、ステッパーでトップシェアをとっているのはオランダのASMLという会社です。ちなみに半導体露光装置は人類史上最も精密な機械、と言われ日本の独壇場とされてきましたが、あっさりとオランダの会社にシェアを奪われました。これは半導体生産において世界トップだった日本が、台湾・韓国勢に追い上げられると同時に、台湾・韓国勢のバックについていたオランダASML社が浮上した、という構図です。
こうした産業構造の変化についての話をすると、よく「しかし、医療機器業界なんて市場規模が小さいでしょう」と言われます。確かに、自動車生産の市場規模が全世界で300兆円なのに対し、医療機器業界の世界市場は25兆円ほどしかありません。自動車産業と比べて1/10の市場規模です。
従来の生産財業界を担ってきた「自動車」「電機」「IT」と比較すると、「医療機器」「エネルギー」「社会インフラ」「航空機」「三品産業」全てを合わせても、生産財の市場規模は1/2程度しかありません。言い換えれば、これから10年くらいでプレーヤーの数は半分近くになる、ということです。こうした産業構造の変化を見越して、早急に手を打つことが求められます。
そうした中で先般、ある地方の商工会議所からの依頼で、製造業向けにセミナーを開催しました。セミナーの中で私が「医療機器業界を攻めるべきだ」という話をすると、ある会社の幹部の方から「ウチもそう思ってリサーチを進めているのですが、中々うまくいかなくて・・・」という質問を受けました。
その答えとして、やはり新規事業・新規分野への進出は、その道のプロを活用するのが良いと思います。
例えばアメリカにおけるコンサルティングの市場規模は10兆円、と言われますが、日本においてはまだ3000億円程度です。人口比・GDPなど国力でみれば1/2ですが、コンサルティングの市場規模では1/20以下です。
そう考えると、日本においてはコンサルティング会社が、まだまだ活用されていないのだと思います。しかし、これからの本格的な産業構造の変化を前に、こうした状況も大きく変わっていくと私は思います。
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