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片山和也の生産財マーケティングの視点【不況を乗り切るポイント(3):インサイドセールスの活用】

前回のコラムで述べた「商圏の拡大」は、いわば新規開拓のテーマで
す。では既存顧客に対してはどの様に考えたらよいのでしょうか。

現在の様な不況期の営業は、「どこに行くか」を決める以上に「どこ
に行かないか」を決めることが非常に大切です。
業績の厳しい会社の営業マンほど、行っても買ってもらえる見込みの
無い顧客に通っているものです。例えば日報を見て、毎日の様に通っ
ているけども、実は1ヶ月に1回程度の訪問で充分、という顧客もあ
るはずです。そうした「行かない」先を決めることが大切なのです。

その代わり、電話や手紙でフォローを行います。これが「インサイド
セールス」と言われるものです。具体的には、例えば過去半年間訪問
ができていない既存顧客を洗い出します。その既存顧客に対して「最
近はいかがですか?」「納入した商品のトラブルはありませんか」と
お電話をかけるわけです。できれば事前にチラシやニュースを送って
おいて、その後「お手元に届きましたか」とフォローのTELをかけ
るのが、ベストな方法だと思います。

また、生産現場では「5S」や「見える化」などが行われています。
ところが営業現場でこうした取り組みを行っている会社は、あまりあ
りません。情報は全て営業マンの頭の中です。
ですから、例えば全既存顧客を模造紙など大きな紙に書き出し、横軸
に訪問頻度とその実績を書き込む様な表をつくり、全社で「見える
化」を行うのが良いでしょう。

特に部品加工業や各種製造業など、営業活動に大きな時間が避けない
業態の会社ほど、インサイドセールスの活用が求められると思います。
例えば私の関係先の部品加工業は、自社の3ヶ月先までの受注見込
み・売上予算・必要な差額を紙にまとめ、それを社員が集う喫茶コー
ナーの一番目立つ壁に張り出してあります。どのお客さんからどれだ
け仕事をいただくのか、全社員が関心を持つことは非常に重要なこと
です。また過去客を全て洗い出し、全員が共有できる表にまとめて電
話セールス(インサイドセールス)も行っています。

新規開拓も大事ですが、当然のことながら既存顧客も大事です。ただ
しリーマン・ショックから大きく変わった現状を乗り切るには、「行
かないところ」「訪問件数を減らすところ」を決めることも必要なこ
とです。その為にも「インサイドセールス」を、新たな営業手法の1
つとして活用していただきたいと思います。

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