片山和也の生産財マーケティングの視点【米国グレートカンパニー視察セミナーより(2)】
「現場で見る米国の市況と進む二極化」
米国グレートカンパニー視察セミナーの全レポートを下記サイトにアップしました。ぜひご覧ください↓↓↓
https://factory-business.com/commentary/beikoku2012/beikoku1.html
今回の米国ツアーでは3日間をサンフランシスコ、2日間をロサンゼ
ルス・アナハイムで過ごしました。計5日間カリフォルニア州に滞在
した訳ですが、その間、道を走る自動車を見ているとその5~6割は
日本車でした。アメリカ車が2~3割、残りはドイツ車や韓国車でし
た。さらに昨年と異なるのは、街中を多くのプリウスが走っていると
いうことです。また今年はタクシーの多くがプリウスでした。
この背景にはカリフォルニア州の厳しい排ガス規制に加え、米国にお
いてもガソリン代が大きく値上がりしていることが、その背景にあり
ます。
現地の日本人ガイドによるとレギュラーガソリンの場合で1リットル
2ドル前後とのこと。約140円ですから、日本並みの価格です。こ
の3年間くらいで2倍に上がったといいます。
フランスのルノーやシトロエンは、3万人規模でのリストラを行って
いますが、日本の自動車メーカーは好調です。やはり低燃費・高性
能・高信頼性によって、日本の自動車メーカーは高い競争力を持って
いると強く感じました。また日本メーカーお得意のハイブリッド車が、
世界レベルで受け入れられていることで、リチウムイオンバッテリー
などの関連産業もさらに伸びると感じました。
こうした日本の自動車メーカーの競争力を感じると同時に、二極化す
る米国社会の様子も実感しました。
例えば米国のドラッグストアをみると、インフルエンザ予防注射を2
0ドル前後で受けることができます。米国ではドラッグストアにも上
級看護婦が常駐していて、ちょっとした注射くらいであればドラッグ
ストアで受けることができます。言い換えれば、一般庶民は中々病院
にかかることができない、ということです。
船井総研のロサンゼルス事務所に駐在しているコンサルタントのケー
スで、家族5人で年間130万円もの健康保険料を納めているとのこ
と。ちなみに現地ガイドの方は保険には入っていませんでした。「ア
メリカでは健康保険に入らないのが当たり前だよ」と言われていまし
たが、この点は日本と米国との大きな違いです。
また世界最大のディスカウントスーパーであるウォルマートが店舗を
増やすと同時に、オーガニック専門の高級スーパー ホールフーズも
ここ数年で多くの店舗を出店していると言います。
米国でオーガニック(無農薬)を名乗るためには、少なくとも3代以
上無農薬の畑で育てられた農作物である必要があります。
米国は広大な国土であることから、冷凍か保存料による物流が大前提
です。米国の牛乳は100日間腐らないと言われますが、これはそれ
だけ保存料が使われている、ということです。従ってホールフーズで
売られている商品は高い訳ですが、それでも健康志向の中流階級以上
の支持を受け、米国で業績を伸ばしているのです。
例えばワインですが、ウォルマートでは3ドル前後のワインが多く売
られていますが、ホールフーズでは安くても10ドルからです。
その結果ウォルマートとホールフーズでは、全く客層が異なります。
ウォルマートに来ている客の大半がヒスパニックやアジア人、あるい
は肥満か超肥満の白人です。駐車場の車もボロボロの車が目立ちます。
ところがホールフーズの場合はスタイルの良い白人ばかりで、米国に
来るとその体型で大体の所得水準がうかがえます。特にロサンゼルス
の場合は治安が悪く、夜になると郊外で道を歩く人はほとんどいませ
ん。日本であれば気軽にランニングやウォーキングができますが、米
国の場合はスポーツジムに行くなど、運動をするにもお金がかかるの
です。
米国の景気は、現地のガイドによればあまり良くないとのこと。東部
ではシェールガスにより電気料金が3割程度下がったと聞きますが、
西部ではまだそうした動きも無いとのこと。
しかしホールフーズの様な高級スーパーが業績を伸ばしているという
ことから、やはり所得の二極化が進んでいることが伺えます。
日本国内においても市況は厳しいですが、10月に入ってからさらに
その感が増した様に感じられますが、それでも忙しいお客・業績を伸
ばすお客は存在します。そうしたお客に支持される質の高いサービ
ス・商品の研究開発がさらに求められると思います。
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