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片山和也の生産財マーケティングの視点【不況を乗り切るポイント(2):まずは商圏を広げる】

全国の市況と中長期的な視点での成長分野は、前回述べた通りです。
世界レベルで見れば自動車・航空機・医療など成長分野はありますが、
国内に目を向けると市場そのものは、リーマン・ショック以前の7割
程度に減少しています。従って根本的に従来のビジネスモデルを見直
していく必要があります。

まず売上高は次の方程式で表すことができます。
    売上高=マーケットサイズ×商圏人口×シェア
マーケットサイズというのは商品の人口1人あたり市場規模のことで
す。これに自社の商圏人口を掛け算し、さらに自社が取っているシェ
アを掛け算すると、売上高が導きだされます。
まず、現在の様に市場縮小期になるとシェアを上げるのは至難の技に
なります。ですからまずは、

 1)商圏人口を増やす
 2)マーケットサイズを増やす

といったことを考える必要があります。

最も短期的に業績が上がるのは、上記の1)です。例えば私の九州の
関係先の部品加工会社は、今年の5月に関西に営業所を出しました。
当初100万円前後であった営業所の売上が、今月には1000万円
に達しています。従来は九州・中国エリアでのみ仕事を取っていたの
が、関西エリアにその商圏を広げたことで、売上アップを図っている
のです。

またその広げた商圏の中でも、特に業績の良い会社をターゲットとす
る必要があります。そうした会社は多くの場合、会社規模に関わらず
グローバルな競争力を持つ、最終メーカーです。そしてこうした最終
メーカーの大半は東名阪エリアに所在しています。

例えばイプロスという設計者向けのメルマガ広告があります。拙著
『なぜこの会社には1ヶ月で700件の引き合いがあったのか? 新
規営業開拓の「しくみ化」』をご一読いただければイプロス活用の詳
細をご理解いただけますが、イプロスを購読している読者の大半は最
終メーカーの技術者です。

このイプロス広告は成功すれば100件以上の問合せがあります。そ
の内訳としてはいつも、問合せ数の約40%が関東エリア、25%が
関西エリア、同じく25%が中部エリア、残る5%前後がその他のエ
リアといった感じです。
この様に、意識の高い最終メーカーの大半が関東エリアに所在し、ま
たほぼ全てが東名阪エリアに所在していると言っても過言ではありま
せん。従って地方の会社であっても、営業ターゲットとしては東名阪
を強く視野に入れる必要があります。

例えば従業員100人以下クラスの会社であれば、付き合う顧客のレ
ベルでほぼ業績が決まります。私の関係先の埼玉の鉄工所の場合、来
年6月まで仕事を抱えています。その理由は、メイン取引先が世界的
な競争力を持つ食品メーカーだからです。船井総研の創業者である船
井幸雄は「ツイている人・ツイているモノと付き合う」と常に言って
います。現在の様な不況期になると、まさにそうした原理原則がその
まま効いてくる様に思います。

さらに2)で示した、「マーケットサイズを増やす」といったことに
取り組む必要があります。マーケットサイズを増やす基本は取扱商品
を増やすことですが、現在の様な激動期はさらに一歩進めて「新たな
マーケットを創出する」レベルまで考える必要があります。そしてそ
のキーワードは「垂直統合」と「顧客代行」にあります(次回に続く)。

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