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片山和也の生産財マーケティングの視点【「やり方」と「あり方」の違い】

先日、私のコンサルティング先のセットメーカー(エンジニアリング
会社)の創業者が“やり方”と“あり方”の違いについて、社員に講
話をされていました。曰く、「”やり方“は船井総研さんに教えても
らえる。しかし”あり方“は自分らで考えなければならない。様々な
マーケティングをやっているのは良いが、”あり方“がおざなりにな
っていないか?」というお話でした。
弊社会長 小山の話からの引用であると前置きをいただいたのですが、
ありがたいお話でした。ちなみに、この会社はセットメーカーの中で
も生産性が高く、業界でもモデルになるくらいの優良企業ですし、中
小企業ながら難易度の高い国家資格を何人もの社員が持っている様な
優秀な会社です。それでも、経営トップが常にこうした危機感を持た
れていることが、同社が優良企業であり続けている理由なのでしょう。

“やり方”というのは、一言で言えば「戦術」「戦闘」です。例えば
どの様な集客ツールをつくるか、その後どの様に営業をするのか、と
いった手法論が“やり方”です。
それに対して“あり方”というのは理念であり、行動指針であり、戦
略といった上位概念です。“あり方”が確立されていないと、いかに
“やり方”を取り入れても結果が出ることはありません。
自社の“あり方”について、例えば「経営理念」「クレド」「WAY
ブック」といった目に見える形にすることも大切ですが、経営トッ
プ・幹部が日々指導を行い、“価値観のレンジ”を合わせていくこと
が最も大切なことだと思います。
例えばかつてのソニーにおいては、自社商品を縦軸に“ソニーらし
さ”、横軸に“収益性”のマトリクスをつくって、自社の商品・ブラ
ンド・サービスが本当に“ソニーらしさ”すなわち“あり方”に合致
しているかどうか、社員間で多く議論が持たれていたといいます。
“自社らしさ”を追及することは、対外的にだけではなく社内一体化
を図る上でも大切なことなのです。

特に現在の様に競争が厳しく、顧客の要求水準が高い時代においては
“あり方”が非常に重要になります。なぜなら末端の社員1人1人が
自分の頭で考えて、自律的に動くことが求められる時代だからです。

例えば象徴的な話として、先進国においては軍隊組織の運用が198
0年代以降、大きく変わりました。第二次世界大戦以降、先進国同士
の戦争というのは、ほとんど行われていません。現在の戦争の大半は
非正規軍を相手にするゲリラ戦です。
そうなると先進国同士の戦争の時の様に、命令されたことだけに忠実
に動く軍隊では機能しなくなります。その代表的な例がベトナム戦争
だと言われています。ベトナム戦争でアメリカがベトナムに惨敗した
理由は、先進国同士の戦争のルールをゲリラ戦に持ち込んだことが原
因と言われています。
そこで、従来の軍隊組織でとられていた「コマンド・アンド・コント
ロール」という概念から、「ミッション・コマンド」という概念に米
軍やNATO軍を初めとする先進国の軍隊は、組織運営のやり方を変
えました。
「コマンド・アンド・コントロール」というのは文字通り、指揮・命
令を細かく管理する運営手法です。それに対して「ミッション・コマ
ンド」は、ミッション(=あり方)を前提に「目的・目標」だけを現
場に指示して、あとの細かい運用は現場の意思決定に任せる、という
ものです。

この「ミッション・コマンド」をきちんと運用しようとすると、“あ
り方”の共有、すなわち「ビジョン」「ミッション」の共有が欠かせ
ません。これを民間企業で実行している会社がグレートカンパニーで
あり、米国であればグーグルやザッポスといった会社がその代表例で
しょう。日本で言えば未来工業や樹研工業といったところです。

社員教育・部下指導は、この“あり方”“やり方”を同時に教えてい
く必要があります。“あり方”だけでは具体性に欠けますし、“やり
方”だけでは機能しません。
組織リーダーはそのことを強く意識する必要があると思います。

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