片山和也の生産財マーケティングの視点【デフレ・不況下に求められるグレートカンパニー化】
前回のレポートで、若手の戦力化が行えている会社は総じて業績が良
いという話をしました。若手を戦力化できているということは、その
会社の「強み」やビジネスモデルが明確であるからです。さらに不況
下の昨今においては、その「強み」を「一番」「日本一」のレベルに
まで高めていくことが求められます。
例えば船井総研の場合は、「部品加工業」「機械工具商社」さらには
「雑貨店」「歯医者」・・・といった形に、業種ごとのコンサルティ
ングを行っており、その業種は100近くにのぼります。かつ、その
100業種において“経営研究会”という業界ごとの会員制勉強会の
場があります。こうした業種別コンサルティングは船井総研が唯一の
ものも多く、言い換えれば「日本一」が100近く集まっていること
になります。
さらに、若手を戦力化するために船井総研ではコンサルティングの中
心を“マーケティング”さらに“集客”に絞込み、その分野では日本
一を目指しています。20代の若手が経営論を語っても経営者は耳を
傾けることはないでしょうけども、チラシによる集客の手法やWeb
による集客のノウハウであれば、耳を傾けてもらえるわけです。
また、船井総研では確実に業績を上げることができるノウハウのこと
を「ズバリソリューション」と呼んでおり、我々マネージャークラス
以上の仕事は、この「ズバリソリューション」を開発することにあり
ます。さらにそれで成果・実績をあげた上で、若手が「事実」を語れ
る様なノウハウをつくることが仕事です。
いずれにせよ確実に「集客」できる手法と、自社の「一番」商品をつ
くりあげることが、ビジネスモデルの整備ということです。
特に現在の様なデフレ・不況下になると、とにかく何かの分野で「日
本一」を目指すことが必要です。
例えば私の関係先の町工場を見ていても、今忙しい会社は何で「日本
一」を目指すかが非常に明確です。例えば部品加工業K社においては、
「難削材の鏡面研磨」というテーマを掲げて、普段の仕事のかたわら
全社員で新しい技術に取り組んでいます。昨今においてはCAD/C
AMやマシニングセンタが高度化・一般化したことによって、複雑形
状の製品は比較的どんな会社でも仕上げることができます。しかし切
削条件や工具選定にノウハウが必要な難削材、さらにその鏡面研磨と
いうことになると、その会社独自のノウハウが必要です。
また「長尺加工」で日本一を目指す会社もあります。例えば2mを超
える様な長尺材になると、普通にフライス加工を行うと熱でひずみま
す。ところが同社はt30mmで長さ2mを超える長尺加工において、
マシニング加工だけで平面度5/1000を出す技術を持っています。
材料への熱ひずみ対策というのは、デジタル化できない属人的なノウ
ハウです。デジタル化できるノウハウ、例えば半導体の生産といった
工程は時間の問題で、人件費の安い新興国に流れます。その点、メカ
の多品種少量生産は属人的なノウハウは人に依存するため、新興国に
簡単には流れないのです。
人に依存する属人的なノウハウであっても、若手でも環境さえつくれ
ばこなすことができます。例えば前述の「難削材の鏡面研磨」で日本
一を目指すK社の場合、現場の平均年齢は30代半ばです。来年1月
に開催されるインターネプコンを目指し、各自が普段の仕事以外に展
示サンプルワークの加工テーマをこなしています。この様に「展示会
に出展する」「その為にサンプルワークをつくる」といったことが環
境づくりであり、テーマ設定です。こうしたことが経営トップの仕事
となるわけなのです。
特に大切なことは、何で「日本一」になるのかを明確に決めることで
す。例えば本日から1週間にわたり、米国グレートカンパニー視察セ
ミナーが行われます。グーグルをはじめアップル、オートデスク、ホ
ールフーズといった米国版グレートカンパニーを20社視察しますが、
これら各社に共通して言えることは、全米一あるいは世界一の何かを
持っているということです。
日本国内においても同じことがいえます。緩まないネジで世界一のハ
ードロック工業、微細樹脂成形で日本一の樹研工業、電気設備用BO
Xで日本一の未来工業、プーリーで一番の鍋屋バイテック会社、全て
何が日本一なのかが明確です。同じことが歴代の船井総研グレートカ
ンパニーアワードの受賞企業にも言えます。各社何で「日本一」を目
指すかが明確なのです。
船井総研では、社会的意義の高い理念のもと、その企業らしさを感じ
させる独自のビジネスモデルで持続的成長を続ける会社。さらに社員
と顧客が「素晴らしい会社」と誇りの持てるカルチャーを持つ会社の
ことをグレートカンパニーと呼んでいます。こうしたグレートカンパ
ニーは、結果として何らかの分野で「日本一」あるいは「世界一」を
持っています。また総じて平均年齢も若く、若手の戦力化に成功して
います。
グレートカンパニーを目指すことこそが、最大の不況対策といえるで
しょう。
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