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片山和也の生産財マーケティングの視点【不況下に売上・粗利を増やす指標】

一昨日、全国の機械工具商社経営者が集まる、機械工具商社経営研究
会6月度定例会がありました。
やはり4月以降、各エリアともに市況は悪くなっています。引合いは
多いものの中々決まらない、あるいは受注までに時間がかかる、とい
った内容でした。
但し東北エリアは例外で、復興需要もさることながら、自動車関連の
設備投資や、増産に伴う消耗品の購入が市況を押し上げている様です。

しかしマクロにみれば悪い話ばかりではありません。とりあえず、ギ
リシャのユーロ離脱は進まない方向になりましたので、ギリシャがデ
フォルトすることによる金融恐慌の可能性は低くなりました。4月以
降のマインドの低下はギリシャ情勢の様子見、といった感がありまし
た。
また、アメリカの国内景気が良くなる兆候もあります。「シェールガ
ス革命」によって埋蔵量100年以上の、原油と比較して価格1/4
以下のエネルギーが、アメリカの手に入ったわけです。シェールガス
によるエネルギー価格低下を受け、アメリカの電力会社は法人向け電
力料金を約3割引き下げるそうです。こうした動きが、アメリカ製造
業の国内回帰につながっています。

また、個人向け電力料金も近々引き下げられるといいます。さらに住
宅需要についても、中古の安い物件については需要が増加してきてい
るといいます。アメリカについては、まだ不透明なところもあります
が、景気回復を期待したいところです。

思えば2003年から2008年まで続いた、“生産財バブル”とも
いえる好況は、アメリカの国内消費が牽引したものでした。あの時も
2003年7月に、日経平均株価7500円割れという戦後最安値を
つけたあと徐々に景気が回復し、2004年からは市況も完全に上昇
傾向に転じました。
ただし、2003年と現在の違いは欧州の景気が決定的に悪い、とい
うことです。特にスペインは日本以上のバブル崩壊の痛手から復活す
るまでには、相当の時間を要するものと見られます。

また景気頼みの経営を行うわけにはいきません。経営者やリーダーは、
あくまでも現在の状況が普通、と考えて各種施策を考えていく必要が
あります。

そこで私が強く提案したいモニタリングの指標が、「新規開拓売上比
率」です。新規開拓により取引をスタートした月から1年以内の売上
数字を“新規開拓売上”とし、毎月の新規開拓売上を算出します。さ
らにその月次の新規開拓売上を、月全体の売上で割り算することによ
って算出される数値が「新規開拓売上比率」です。

新規開拓売上比率の目標設定として、最低5%以上、目標10%とし
ます。この新規開拓売上比率を毎月とっていくと、5%を越えたあた
りから、全体の業績が上がりはじめます。10%近くになると例えば
同業他社が昨年対比割れの中でも、自社は確実に昨年対比プラスとな
ってきます。

では、どうすれば新規開拓が促進できるかといえば、それは競合他社
に無い「差別化」を行うことです。
「差別化」と言うと非常に敷居が高く感じられますが、要は自社の強
みを伸ばし、顧客が求めるニーズとの接点をつくるという考え方で設
定すれば良いのです。
現状の業務から強みを引き出し、差別化を行っている事例として下記
の様な事例があります。
(1)取扱メーカーが豊富なことを強みとし、無料技術セミナー年間
計画を立てている機械工具商社の事例

(2)自社が取引先に行う、加工技術アドバイスを体系化して情報発
信している町工場の事例1

(3)自社が取引先に行う、加工技術アドバイスを体系化して情報発
信している町工場の事例2

(4)特急加工の納期保証をすることで、緊急品対応を行っている試
作製造業の事例

これらの企業はいずれも、何か特別なことを付加した訳ではありませ
ん。従来の業務の延長線上で、自社の強みを伸ばし顧客のニーズとの
接点を考えた結果、それが差別化要素となっているのです。
これら事例企業は、いずれも高い新規開拓比率を誇り、不況下でも業績を維持しています。

自社の強みを伸ばし、それと顧客ニーズとの接点を探る、といった取
り組みをぜひ行っていただきたいと思います。

経営コンサルタント 片山和也ブログ でバックナンバーをご覧に
なれます。

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