片山和也の生産財マーケティングの視点【ビジネスのルール変更に対応できているか?】
最近強く感じることは、この3年間でビジネスのルールが完全に変化
した、ということです。具体的には従来の「インフレ対応マーケティ
ング」から「デフレ対応マーケティング」に完全に移行した、という
ことです。
例えばこの20年間で、最も価値が下落していないものがキャッシュ
(現金)です。現金以外の代表的資産である株式については価値が半
分以下に下落、土地についてはそれ以上の下落です。つまり、何もし
なければモノの価値、あるいはサービスの価値も下落する、というこ
とです。事実、現在は業界・業種で景気の良し悪しを語れる時代では
無くなりました。業界・業種にかかわらず、業績の良い会社は良い、
悪い会社は悪い、という“まだら模様”の市況になっているというこ
とです。もちろん、業績の良い会社の方が少数派です。この時、業績
の良い会社が共通して展開しているのが前述のデフレ対応型マーケテ
ィングなのです。
デフレ対応型マーケティングは、商品やサービスのあらゆる「価値」
を、モノとコトに分解することから始まります。モノとは、主にその
商品が持つ“機能価値”のことを指します。それに対してコトとは商
品がもたらす“共感価値”“体験価値”を指します。デフレ時代はモ
ノだけでなく、コトがもたらす価値に注目する必要があります。
例えば私の関係先の某セットメーカーは、設備製作前後の“価値”に
注目してマーケティングを展開しています。具体的には工場内に「テ
ストセンター」をつくり、いかに従来よりも速い時間で加工が行える
かを顧客に代わって条件出しを行います。
設備納入後のプロセスにおいては、メンテナンス・点検に力を入れて
います。この会社では自社が納入した設備だけでなく、他社が納入し
た設備についてもメンテナンス・点検を請け負っています。
また単に「メンテナンスやります」だと、お客からは「既に他に頼ん
でいるよ!」と言われてしまいます。ですからこの会社ではメンテナ
ンス・点検の手前の商品として「節電・省エネ診断」を商品化し、見
込客に提案しています。「メンテナンスどうですか?」だと断るお客
も、「節電・省エネ診断しませんか?」という切り口だと、お客は飛
びついてきます。こうしたマーケティングは価値の中のコトの“共感
価値”に注目して商品化を行った事例です。
従来、消費財におけるマーケティング、いわゆるBtoCマーケティ
ングにおいては昔から「モノよりもコトを売る」ということが叫ばれ
てきました。今や生産財マーケティングにおいてもモノ(=機能)か
ら、コト(=共感・体験)を売ることを考えていかなければなりませ
ん。
製造業の世界においては、成熟期になると工場が生み出す価値(=加
工・組み立て)よりも、その前後のプロセスが生み出す価値(=開
発・サービス)の方が、重要性が高まるとされてきました。これは従
来、スマイル・カーブという概念で示されてきました。
さらに成熟化(=デフレ経済化)が進んだ現在においては、さらに価
値を分解して、従来注目していなかった要素(=コト)を強化してい
かなければなりません。
デフレ経済下だからこそ「価格」よりも「価値」で勝負する、市場縮
小の超成熟期だからこそ「モノ」だけでなく「コト」で差別化する、
そういったことにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
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https://factory-business.com/buhinkakou/report/report7.html
生産財業界 現在の全国の市況・デフレ下で価格競争を防ぐポイント
をレポートで上記URLからお読みいただけます。
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