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片山和也の生産財マーケティングの視点【不況下でも業績の良い会社が行なっていること】

先日、トラスコ中山の販売店のパーティーが東京のホテルニューオー
タニで開催された様です。同社の発行するカタログ「オレンジブッ
ク」は今や工場の必需品として、広く使用されています。
そのオレンジブックに、来年は電機関連の商品も新たに掲載されると
言います。同社では客先から問い合わせがあった商品に対して、自社
で取扱が無く断った商品についても、全てその内容をデータベースに
入力しているといいます。そして定期的に問い合わせがあったけども
断った商品をレビューして、その中でも特に問い合わせが多かった商
品を、新たな取扱商品としてオレンジブックに掲載しているのです。

同社は取引先に対して現金での支払いを求める、また前述のパーティ
ーも東京までの交通費は自己負担ということもあり、賛否両論ある様
ですが、企業の姿勢としてはモデルとなることは間違いないでしょう。

以前からこのレポートで述べていますが、不況下でも業績を伸ばすポ
イントは「新規開拓売上比率」を上げるか、「新商品売上比率」を上
げるかどちらかです。
例えばアメリカの3M(日本の住友3M)の場合、過去5年間に発売
した新商品の売上比率が25パーセント以上であること、というのが
営業に求められる最も重要なルールです。同社の場合、いくら売上を
あげてもそれだけでは評価をされず、前述の新商品売上比率を達成し
てはじめて評価がされるのです。
同様のルールが決められているのがミツトヨです。同社の場合は過去
3年間に発売した新商品の売上比率が30パーセント以上、というの
が求められる水準です。

また新商品発売で好業績を維持する代表的な企業例にキーエンスがあ
ります。同社の営業マンは、売上・利益目標の達成以外に「ニーズカ
ード」を提出することが義務付けられています。例えばベアリングメ
ーカーにて、ベアリングの玉が規定通りの個数が挿入されているかど
うかセンサーで確認したい、というニーズがあったとします。そうす
ると、その内容をニーズカードにまとめる訳です。
同社の営業マンは、このニーズカードを週に5枚以上提出することが
義務付けられています。このニーズカードが規定通り提出できない営
業マンには、どれだけ売上をあげていてもボーナスは支給されない、
と言われています。

この様に不況下でも好業績の会社の共通点は、会社を挙げて仕組みで
新商品開発を行っている、ということなのです。
ここで、自社オリジナル商品を持たない機械工具商社や部品加工業の
場合、以前からこのレポートでも述べている新規開拓売上比率が重要
となるのです。
↓↓↓新規開拓売上比率について

新商品を定期的に開発していくか、あるいは新規顧客を定期的に開発
していくか、どちらかを実行していかなければ再現性のある企業業績
は維持できません。再現性というのは、自分の力でそれを達成すると
いうことです。例えば取引先の業績がたまたま良い、あるいは景気が
良かったから自社の業績も良い、というのは「事後管理」であり単な
る結果オーライです。会社の経営というのはPDCAサイクルを回し、
再現性を持たせることが求められます。PDCAサイクルを回す、と
いうのが前回のレポートで述べた「先行管理」であり、前述の「新商
品売上比率」を上げていく、あるいは「新規開拓売上比率」を上げて
いくということなのです。

新商品は何も自社で開発しなければならないものではありません。例
えば私の関係先の熱設備メーカーは、顧客企業に対して「省エネ診
断」を展開し、好評を博しています。その省エネ診断のメニューの中
に、モーターから動力部へのベルト伝達に対して、三ツ星ベルトのウ
ルトラeパワーベルトを提案するものがあります。同ベルトは従来の
Vベルトと比較して5パーセント以上の省エネを実現するベルトです。
また私の関係先の部品加工業では自社で行える加工以外に、自社が仕
事を出している表面処理業者の、特徴ある表面処理のPRも実施して
います。例えばカニゼンメッキよりも15倍以上も耐食性のある表面
処理や、非粘着性の表面処理といった内容です。
この様に仮に下請型の製造業であったとしても、他社とのアライアン
スを図ることで新商品提案はできるのです。

現在はデフレ・市場縮小の影響もあり、明らかにリーマン・ショック
前と比較して2~3割くらいはマーケットが縮小しています。その分
を補おうと思えば、前述の新商品開発あるいは新規顧客開発を行って
いくしかないのです。

前回のレポート
↓↓↓営業PDCAサイクルを回す先行管理表の事例はこちら

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