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片山和也の生産財マーケティングの視点【新聞のニュースと現場の実態との違い】

最近の新聞記事を見ていると悪いニュースばかりが目に付きます。シ
ャープは大赤字に陥り、5000人のリストラ計画を発表しました。
パナソニックも足元は利益が出た様ですが、基本的にはリストラを進
行中です。今まで好調であった自動車関連も、8月にエコカー減税が
終了することから9月からは減産が計画されています。

では実際に、現場の景気が悪化しているかというと、必ずしもそうで
はありません。例えば6月の機械加工業セミナーで講演いただいた由
紀精密は、5月は過去最高の売上を達成しました。同社は旋盤・マシ
ニングセンタの小物加工を主体とする従業員20名の町工場です。ま
た私の関係先の京都の部品加工会社も、リーマン・ショック以前の水
準で、年内は仕事を確保できている状態です。

こうした現在の不況下でも仕事が獲得できている会社とは、以前から
述べている「顧客代行」機能が果たせている会社です。
例えば先日、私の関係先の機械工具商社が部品加工のPRを某大手自
動車部品メーカーに行ったところ、数億円もの引合いを獲得しました。
その大手メーカーでは社内設備の設計を自社で行い、部品は外注で確
保しようとしていた様で、百数十枚の図面がでてきた訳です。その某
大手企業としては限られたスタッフで百数十枚の図面を管理するは大
変らしく、「それなら御社にまとめるから各図面の納期管理・品質管
理をしてほしい」といったことがニーズだった訳です。この機械工具
商社がISO9000シリーズを取得していたことも、要因だったの
かもしれません。

また先月、私の顧問先の部品加工業が新しいホームページを立上げ、
設計者向け専門メディアにクロスメディア広告を掲載したところ、3
00件もの問い合わせがきました。その中で顧客ランク分けを行い、
Aランク顧客20件を回ったところ50パーセントの確率で引合いを
獲得することができました。そのAランク顧客の中にはIT関連の設
備を製作しているメーカーもありましたが、そのメーカーは20人の
設計者ではこなしきれないほどの仕事を抱えている様で、「全体設計
図の展開までお願いできるか?」という打診がありました。
その打診をお受けしたところ、やはり百枚単位の図面が出てきて「見
積もってほしい」という話になりました。

かねてからこのレポートでも述べていますが、今回の不況は業種・業
界に関わらず“まだら模様”の景気です。つまり同じ業種・業界であ
っても忙しい会社と暇な会社の差が激しい訳です。また市場自体は縮
小していますから、既存客だけを見ていても良い話というのは中々見
えてきません。
ところが商圏を広げ、新規客と接する機会がつくれれば、大きく視野
が広がります。

例えば先月、私の関係先のプレス加工会社は、「難削材」というテー
マで展示会に出展し、多くの引合いを獲得しました。従来は広く加工
サンプルを展示するだけでしたが、今回は「顧客はチタンやマグネシ
ウムなど、難削材の塑性加工で悩んでいるのではないか?」という仮
説を元に、難削材に絞った展示が効を奏したわけです。一般的な塑性
加工の話であえば資材部門主導での引き合いになりますから、どうし
ても価格が焦点になります。
ところが「難削材」が入口になれば、それは技術主導の開発案件にな
ります。大手・中堅メーカーから寄せられた開発案件を見ると、まだ
まだ国内にも多くの案件があることがわかります。

インターネットや広告メディアを活用すれば、新たな営業マンを雇う
ことなくローコストに新規顧客開発を行うことができます。従来と比
較すれば市場が2~3割くらいは縮小していることは間違いありませ
ん。その分商圏を広げるなり、あるいは新規顧客を開発するなりしな
ければ、当然のことながら従来の売上・利益を維持することはできま
せん。

国内での施策をやり尽くした上で、次のステップとして海外への進出
を考えるべきでしょう。国内での施策をやり尽くした上での海外進出
であれば、それは先進国で勝負ができるビジネスモデルになっている
と私は思います。

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