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片山和也の生産財マーケティングの視点【新タイプの不況に適応する方法】

先日、私のある顧問先の社長が営業会議で次の様な話をしました。
「今、景気が悪いと思ってもらっては困る。厳しい業界だったとして
も良い会社と悪い会社に完全に分かれている。だから良い会社を攻め
ないとダメだ!」 その通りだと思います。

同社の業種は金物卸商社であり、マーケットは建設マーケットとなり
ます。建設マーケットの主要業界指標は住宅着工件数になりますが、
同県の住宅着工件数は5年前の75パーセントです。ところが同社は
昨年対比115パーセントです。同県の中の同業者は良くて横ばい、
下手をすると1割以上業績が悪化しているところで、非常に善戦され
ています。同社の顧問会計士も同社のことを高く評価してくれ、経営
団体の中でも優良企業として事例発表に及んだほどです。
不況期は二極化が進む、という典型例であるといえます。

客先の業績の差が大きく開いている以上、従来の「訪問件数」を稼ぐ
スタイルの営業手法では、数字を上げることが難しくなってきます。

先日の私の別の顧問先の営業会議で、やり手営業部長が「訪問件数を
落とせ」と営業会議で号令をかけました。従来、同社のメイン顧客で
あった大手電機メーカーが経営不振で購入量が半減し、それでも営業
マンは従来通り、その大手電機メーカーの各部署をくまなく訪問して
いることに対しての指示でした。
現在の様な不況期になると、あふれた仕事をもらうスタイルの「御用
聞き営業」では数字が組み立てられなくなっています。お客の困って
いること、抱えている問題・ニーズを引き出して解決する「問題解決
営業」を行っていく必要があります。

同社の場合は、この7月から新規営業所をある地域に出店しました。
同社は機械工具商社ですが、同地域の販売店は大半が「御用聞き営
業」スタイルであるとのことで、同社の提案営業スタイルが同地域で
は非常に新鮮に映った様です。先日もある大手企業の新規口座を獲得
しましたが、その会社の資材担当者から「ウチに出入りしている工具
屋さんはCクラス、Dクラスのところが多かったけど、おたくはAク
ラスだね」と言ってもらえました。

今、大手企業は優秀な人を資材部門・購買部門に回し、「開発購買」
というスタイルで、目先のコストダウンだけでなく抜本的にVA・V
Eをかけてコストダウンを図ろうとしています。ですからお客の側の
ニーズも、今や「御用聞き」ではなく「提案営業」なのです。かつて
は「決められた時間に決められた場所に来る」工具屋さんが良い工具
屋さんでしたが、今は時代が変わってさらにプラスアルファが求めら
れています。

従って、営業と配送を分ける“商物分離”が今後は必須だと言えるで
しょう。部品加工業の営業も同じことです。従来は営業がどこへでも
納品に走っていました。しかし本当に営業が走るべき納品なのか、バ
イク便で良い納品なのかは、営業PDCAを回す営業会議の中などで
営業マネージャーが意思決定をしていくべきです。営業マンの時間チ
ャージを考えると、単位あたり時間はバイク便の方がずっと安いわけ
です。

とにかく、今重要なことは会社としての「顧客ターゲティング」であ
り、どの顧客を重点的に攻めるのか優先順位に基づいたターゲティン
グ(ランク分け)を行い、それを営業PDCAを回す営業会議・ミー
ティングを通して徹底していくことです。
今回の不況は全ての会社が悪い従来型の不況ではなく、著しく二極化
が見られる新しいタイプの不況だと言えるでしょう。自社がどちらの
会社に入るかは、リーダーの意識で決まると思います。

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