片山和也の生産財マーケティングの視点【船井総研 経営戦略セミナーに見る、今後の景況見通しと対策】
8月23日、24日は1年に1度の船井総研の全社セミナーである
「経営戦略セミナー」が開催されました。おかげ様で今回は過去最高
の1300名を超えるお客様が集まりました。大半が経営者の方です。
また24日には経営戦略セミナー分科会として、私が主宰する「機械
工具商社経営研究会」と「部品加工業経営研究会」が開催されました。
そうした中で全国の景況を挙げると、
・自動車、化学は堅調。特にトヨタグループは良い。例えばデンソー
は国内で生産しても海外で充分に勝てる「ダントツライン」を稼動。
好調である。
・マツダは特定車種がヒットしているが、全体としては生産台数が8
万台/月から7万台/月と減産しており振るわない。
・IT、造船、鉄鋼、建機は悪い。コマツは年初強気の生産計画を掲
げていたが、5月末に生産計画を下方修正。
・エネルギー関連は良い。特に三菱重工業が動いている。原動機に関
する新エネルギー技術を持つ。
といったところです。
今後の景気見通しについては、
<悲観論>
アメリカを筆頭にデフォルトする先進国が出てくる。アメリカ大統領
選挙が行われる11月までは景気横ばいが続くが、年末から来年以降
は大不況となる可能性がある。デフォルトが起こることで、先進国で
もハイパーインフレが起きる。
<短期的楽観論>
9月にもアメリカでQE3(量的金融緩和)が行われる。合わせて世
界中で金融緩和が行なわれることで、ミニバブル的様相となる。ギリ
シアは地政学的にEUを離脱できない。ギリシアがEUを離脱すると
ロシアの支配下に入る可能性が高いので、EUがそれを許さない。ミ
ニバブルによって数年間は景気が良くなる。ただし2015年以降に
そのツケが回り、大不況になる。
この様に、秋以降の今後の景気については見方が大きく分かれます。
ただ1つ言えることは、景気が確実に悪化してきているということで
す。例えば船井総研の自動車業界専門のコンサルタントの話ですが、
2年前の1回目のエコカー補助金の時は、元々の予算よりも一段高い
予算帯の車が売れたのだそうです。フィット(180万円)でなくプ
リウス(210万円)、ワゴンR(100万)でなくタント(120
万円)といった感じです。
ところが今回売れているのはアクア(150万円)やミライース(8
0万円)といったコンパクトカーや軽自動車の中でも低予算帯の車な
のだそうです。つまり2年前と比べても、どんどん景気が悪くなって
いるということなのです。今後は不況対策が取れている会社と、取れ
ていない会社とで、大きく差がつくことになります。
不況対策として考えられることとして、
1)地域密着構造の業態であれば、取扱商品を増やす。機械工具商社
であれば低単価MRO品(必需品)から設備まで、また必需品ともい
える加工品に力を入れる。
2)新規開拓に注力する。特に地域密着構造の中小企業の場合、そも
そもそのエリア内でシェアが低いケースが多い。地域一番店であって
も、例えば「県」というエリアではなく「地方」というエリアでみれ
ばシェアは低いので、業績を上げることは可能。
3)部品加工業の様な専門業態の場合は商圏を広げる。取扱商品を簡
単に増やせない以上、全国区対応を目指すなど商圏を広げるしかない。
4)中小企業であっても、円高をメリットに変えられるスキームを持
つ。例えば本メールレポートで後述する「中国・青島 商材買付ツア
ー」は、そうした取り組みです。
5)爆発的に引合を発生させる仕組みを持っておく。拙著「なぜこの
会社には1ヶ月で700件の引き合いがあったのか? 新規営業開拓
の「しくみ化」」で詳しく述べていますが、リーマン・ショックの際
は非常に効果がありました。
いずれにせよ、生産財業界の多くの会社がリーマン・ショックの際に
大きな売上ダウンを経験しました。当然のことながら、その時の経験
を生かすことが求められます。今回考えられる不況に対しても
“無策”ではダメで、何らかの「不況対策」が必要なのです。
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