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片山和也の生産財マーケティングの視点【中小企業がアメリカのグレートカンパニーから学べること】

今年10月に開催されるアメリカ版グレートカンパニー視察セミナー
ですが募集定員80名のところ、既に70名のお申込がありました。
私も講師として本視察セミナーに参加しますが、昨年を上回るお申込
に驚いています。

今、アメリカでは「社員の働きがいのある会社」ほど業績が良い、と
いうことで、GPTWという機関が毎年「働きがいのある会社ランキ
ング」を発表しています。特にシリンコンバレーの新興企業にとって
は、西海岸の有力大学から優秀な学生を採用できるかどうかが死活問
題です。なので「働きがいのある職場」づくりに熱心に取り組み、こ
うしたランキングにもこだわっているわけです。

シリンコンバレーのIT企業だけでなく、成長株の小売業やサービス
業なども、意識の高い人が採用できるかどうかが業績に直結します。
日本もそうですが、成熟社会になると単なる価格競争だけでお客を集
めることができなくなります。価格以上の価値を提供するためには、
人財が命ということになります。
そうした背景もあり、アメリカの成長企業は「働きがいのある会社ラ
ンキング」の上位にエントリーされることに、こだわっているのです。

私も昨年のアメリカ視察ツアーでグーグル、フェイスブックの様なI
T系の有名企業を始め、地域密着企業でありながらウォルマートから
シェアを奪うような小売業、またアマゾンを震撼させたような靴専業
のネット通販会社のサービスを視察してきました。

こうしたアメリカのグレートカンパニーには次のような5つの共通点
が見られました。

<アメリカのグレートカンパニー5つの共通点>
(1)働きがいのある職場をつくることが生産性を向上させ、より良
いアイデアを生み出すと経営トップが強く認識している。
(2)社員本人のスキルよりも、企業文化に馴染めるかそうでないか
を重視している。価値観が同じ人間を採用することを重視して
いる。
(3)100年に一度の不況期であっても、ピンチはチャンスと「プ
ラス発想」で捉えている。
(4)お客様へのおもてなし、気配り・ホスピタリティを重視してい
る。
(5)良質な食べ物を備える(=生存欲求)、経営トップが社員を褒
め・認める(=安全・承認欲求)といった、人間の根元的欲求
を満たすことを重視している。
  例)Googleのフリーランチ、NetAppの無料社員食堂
  例)CEO自らが現場リーダーに直接TEL

↓↓↓昨年のアメリカ版グレートカンパニー視察レポートはこちら

特に共通点5がポイントですが、いずれの会社も「給料でつる」とい
った、いわゆる「ニンジンをぶらさげて馬を走らせる」様なマネジメ
ントは一切行っていませんでした。給料が多い・少ないといったこと
に目がいかないような、仕事そのものへの動機づけを非常に重視して
いたことが象徴的でした。

多少色合いは異なりますが、ドイツの優良中小製造業にも同じ傾向が
見られました。今年4月に実施したハノーバーメッセ視察ツアーの中
で、ドイツ中小製造業視察も実施しましたが、いずれも家族主義の会
社ばかりで、経営者自らが明確に「社員の質を下げたくないので必要
以上に会社の規模を大きくするつもりはない」と話していました。
欧米では特に若年層の失業率上昇が大きな社会問題になっていますが、
背景にはこうした経営者の価値観があるのかもしれません。

日本でも同様の傾向が見られます。国内の優良企業を見ていると、い
わゆる「儲かったら儲かっただけ給料を払わない」といった考え方の
会社が多いように思います。なぜなら現在は先行きがあまりにも不透
明だからです。今は良くても先行きは急激に業績が悪化する可能性も
あります。経営者としては給料を多く払い社員のモチベーションを上
げたいところですが、それ以上に会社の内部留保を図る必要がありま
す。景気が悪くなってもリストラを行わなくてもよい様に、会社とし
て備えておく必要があるのです。

こうした意識は欧米企業の方が高いようで、日本の中小企業の自己資
本比率の平均が約10パーセントなのに対し、アメリカの中小企業の
自己資本比率の平均は約20パーセントです。
また、先述のドイツ中小製造業視察で訪れた中小企業3社は、いずれ
も下請型の中小製造業(従業員17~90名)でありながら、100
社以上の取引先を抱えていました。またメイン顧客への売上比率が2
割を超えないことを強く意識していました。

いずれにせよ価格競争を回避して「信者客」をつくるためには、顧客
へのサービス・気配り・ホスピタリティが決め手になります。その為
には仕事そのものへの動機付けがされた社員の育成と、その環境づく
りが不可欠です。
生産財業界においても、例えば「樹研工業」「ハードロック工業」
「未来工業」「エーワン精密」といった、中小企業ながらグレートカ
ンパニーと言える会社を見ると、同様の取り組みが見て取れます。

今回の10月のアメリカ版グレートカンパニー視察セミナーも定員が
迫っています。ぜひ生産財業界の皆様も、ご参加を検討していただけ
ればと思います。

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