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片山和也の生産財マーケティングの視点【2012年5月の市況と、その対策】

今年に入り3月までは商談も活発で4月以降は景況の回復が期待され
ましたが、実際には4月に入ってから全国的に景況が減速し、5月も
引き続き全体的には厳しい状態が続いているようです。こうした景況
感は日経平均株価の動きとほぼ連動しており、3月当初には1万円を
超えた日経平均株価が4月に入って9000円を割れ、現在は850
0円前後で推移している状況です。この背景には欧州の経済危機があ
ります。緊縮経済路線をとっていたギリシアとフランスの現政権が選
挙で負けてから、ネガティブなマインドになりました。
こうした影響を受けてか、生産財業界も厳しい話が増えています。特
に中国向けの商談が減速、設備案件なども納期が延びて出荷が足止め
されている話もよく聞かれます。

こうした中、活況な設備投資が続いているのが自動車関連です。特に
トヨタグループについてはインドネシアに代表される海外案件を中心
に、国内においても東北エリアを中心とした様々な案件が聞かれます。
トヨタグループの現在の動きを見ていると、今後発生が懸念されてい
る欧州発世界恐慌のその先を見据えている様に見えます。日産グルー
プも九州エリアを中心に、設備投資が活況な状態です。その結果、自
動車マーケットを主要顧客とするセットメーカー・治具メーカー・部
品加工会社も、1年くらいの仕事を持っている様です。

逆に市況が厳しいのが液晶・ソーラー関連業界です。TSMC関連な
ど、一部のIT関連業界は設備投資が見込まれるものの、液晶・ソー
ラー関連は復調のきざしが見えない状態です。従って同業界の関連企
業も厳しい状態に置かれています。

また、構造的には国内製造業の海外移転の問題があります。1990
年代初頭、日本の製造業の海外生産比率は約10%でした。それが現
在では約20%までに上昇しています。
ちなみに日本同様に製造業立国と言われるドイツの海外生産比率は約
30%です。仮に日本の海外生産比率がドイツ並みの30%までに上
昇すると、国内で約300万人の雇用が失われると言われています。
300万人といえば、現在の日本の完全失業者とほぼ同じ数です。そ
うなると現在の日本の失業率4.7%は、倍の10%近くになってし
まうことになります。トヨタが国内生産を考慮している理由は、こう
したことが背景にあります。

製造業の海外移転については大手企業が中心となって進んでいるのが
実情ですが、中小企業の海外進出については、私が知る限り成功例は
非常に少ないのが実態です。以前にもこのレポートで書きましたが、
某政府系金融機関からの依頼を受けて海外で成功している中小企業の
共通点について調査したことがありますが、その結果は「海外で成功
している中小企業の共通点は、いずれも国内でも成功している」とい
うものでした。いずれにせよ中小企業は、まずは国内で成功すること
を考えなければならないということなのです。

では、現在のような不況下において業績を上げていくために考えてい
くべきことは何なのでしょうか。次のその5つのポイントを示したい
と思います。
 1)増客を強く志向する。その為にトップ・プレーヤーを新規開拓
専任として配置する
 2)新規客を集客・クロージングまで至らせる仕組み・勝ちパター
ンをつくる(=マーケティングの強化)
 3)商圏の拡大。地域密着よりも全国区を志向する。あるいは商圏
を広くとる。
 4)メンテナンス・修理・必需品・安全安心など、不況対応ビジネ
スの組み込み
 5)社内の一体化。トップが向かう方向に社内のベクトルを合わせる

船井総研は常時約4000社の企業様とお付き合いをしています。そ
うした中でわかることは、景気・不景気、また業種に関わらず、業績
の良い会社は業績が良いものです。
基本的に、現在の不況がこれから短期的に良くなる可能性は低いと思
います。現在の状況が普通と考えて、手を打っていかなければならな
いと思います。その為にもぜひ、上記5つのポイントを強く意識して
いただきたいと思います。

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