注目のキーワード

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

片山和也の生産財マーケティングの視点【中国・上海の現状と、現地進出で成功するポイント】

先週末から3日間、中国上海に訪れていました。船井総研の上海現地
法人が本格的にスタートした為、現地事務所の視察と上海におけるコ
ンサルティングの現状視察が目的でした。

上海市内の百貨店に入ると、フードコートに入る店舗の1/3くらい
は日系の飲食店・惣菜店でした。例えばこうしたフードコートで店舗
を展開することが、日系企業にとっては手っ取り早い中国進出という
ことになります。

既に現地で中国に進出した日系企業に、コンサルティングを行ってい
るコンサルタントの話を聞きましたが、中国で成功するポイントは次
の3つだといいます。
 (1)ネットとリアルの融合
 中国は文字文化の影響か、日本以上にインターネットが盛んである。
例えば日本でいう“ぐるなび”にあたる飲食店ポータルサイトに対
しても、日本の100倍くらいの書き込みが発生する。
また国土が広いため、店舗だけの集客が難しい。そのためにインタ
ーネットで告知・集客して店舗に誘導する、というスタイルが有効
であるとのこと。 逆に、ネットだけで売ろうとしても難しい。
 (2)中国への土着と迎合
 例えば日本でたこ焼き屋として有名な“くくる”は、上海の店舗で
はたこ焼きなのに、中に入れているのはエビである。またソースは、
わさび醤油をかけている。日本とは異なるレシピにしてヒットした
とのこと。
 また“花まるうどん”の場合、上海の店舗でのメイン商品はうどん
ではなく、おでんと串カツである。
 さらに日本では抹茶ティーを中心に展開しているパーラーの場合、
上海の店舗ではラーメン・海鮮ラーメンなどもメニュー展開してい
るとのこと。
 日本と同じ商品をそのまま持ち込んでも、売れないということであ
る。
 (3)退路を断つ
 サラリーマン的感覚で中国に来ても、当然のことながら絶対に成功
しない。退路を断つつもりで中国ビジネスにあたる覚悟が必要。
中小企業であれば、経営者自らあたらないと成功しない。

生産財業界の中国進出について言えることは、いわゆるコストダウン
目的で進出した会社はいずれも苦戦している、ということです。進出
するのであればコストダウン目的の進出ではなく、あくまでも現地マ
ーケットを狙っての進出にしなければなりません。

従って海外進出における最大の課題は販路開拓です。例えば以前に富
山県の金型メーカーが複数合同で、インドネシアに進出したと話題に
なりました。その後、船井総研のコンサルタントがインドネシアのこ
の会社を訪れましたが、現時点ではかなり苦戦されている様です。
強みとして「安田工業のマシニングを持っている」と、様々な仕事を
取ろうとされている様ですが、コンセプトが不明確な為に採算に合う
様な仕事が中々取れないといいます。

また奇麗事を言うようですが、ビジネスを成功させるためには理念と
いうか、社会性の追及も必要な要素です。従って中国に進出するので
あれば、まさに中国の発展を願って、インドネシアに進出するのであ
ればインドネシアの発展を願う気持ちや行動も必要です。まずは現地
従業員の共感を得ないことには、ビジネスの成功はおぼつきません。

そう考えれば、国内で成功していない会社が、海外で成功するという
ことは、まず考えられないでしょう。これは冒頭に述べた消費者向け
ビジネスであっても、生産財ビジネスにおいても同じことです。
例えば上海のスターバックスで売られているコーヒーは、日本円にし
て300円前後ですが、これは現地の所得水準に換算すると、1杯1
000から1500円くらいの価格水準ということです。
1杯のコーヒーに1000円。それだけのお金を払ってもらえる付加
価値があってこそ、新興国においても成功するのだと思います。

現在の様なデフレ時代の最大の対策は、「価格」ではなく「価値」で
勝負することです。この「価値」を生み出す最大のポイントは「代行
業的発想」にあります。次回のレポートで具体的に述べたいと思いま
す。

生産財マーケティングのことなら生産財マーケティング.COM>>> https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

関連記事

アクセスランキング

製造業・工場経営.comを運営する船井総合研究所が提供する各種サービス

ものづくり経営研究会オンデマンド
ものづくりグロースクラウド

無料経営相談の
お問い合わせ