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片山和也の生産財マーケティングの視点【ランチェスター戦略を今に適用すると】

前々回のレポートで、「地域密着」から「全国区」あるいは「大商圏
対応」の重要性について書いたところ、何人かの方から質問を受けま
した。その質問とは「相対的に考えて弱者である中小企業にとって、
ランチェスター戦略でも地域を絞った戦い方を推奨しているが、中小
企業でも全国区・大商圏を志向すべきなのか?」といった内容でした。
↓↓↓前々回のレポートはこちら

ランチェスター戦略の要諦は、戦い方を「広域戦」と「局地戦」に分
け、経営資源に乏しい中小企業は広域戦よりも局地戦を選択するべき
である、という経営戦略です。例えばかつてのマツダはトヨタや日産
に対抗してフルラインの品揃えにしようとして失敗、品揃えを絞った
経緯があります。スズキの場合は軽自動車という、どちらかというと
ライバルメーカーが嫌がる儲からない分野でトップとなる戦略を固持
し、独自の地位を守っています。

この様にランチェスター戦略がいう「局地戦」は、必ずしも商圏エリ
アを限定することではありません。逆に市場が縮小している現在、逆
に商圏を広げないことには、従来の売上・利益を維持することはでき
ません。特に2009年の世界同時恐慌、それに伴う産業構造の変化
でビジネスのルールは大きく変わりました。また昨年3月の東日本大
震災がそれを決定的なものにしました。

私は次の3つのポイントで、今後の事業戦略を考えていくべきだと思
います。その3つとは、
(1)市場の縮小への対応
例えば小売業の場合、今、業績が良い店は「小商圏における大商圏立
地」です。イオンは過去最高益を先期出しましたが、近年のイオンの
戦略は、地方の田舎に従来だと考えられない大型ショッピングモール
を出店し、広い範囲で客を集める店舗づくりです。また、現在伸びて
いる小売業にアミングという雑貨店チェーンがあります。同社は40
0坪くらいの店舗を、地方都市の郊外ロードサイドに出店します。品
揃えは東急ハンズやロフトのさらに上のラインです。従来なら大都市
駅前立地でしか通用しないと思われていた店舗が、地方都市のロード
サイドで大成功しているのです。
これはBtoBビジネスである生産財ビジネスでも同じことです。例
えば部品加工業やセットメーカーを見ていても、仕事を多く抱えてい
る会社は例外なく全国区対応の会社です。従来は地域密着業態の代名
詞であるメンテナンス業・制御盤製作業にしても、業績を伸ばしてい
る会社は地方から東名阪マーケットを攻めています。
BtoCであれBtoBであれ、小商圏でも大商圏ビジネスモデルが
好業績のキーワードなのです。

(2)デフレ経済対応
一説によるとインフレは戦争を前提としたものであり、デフレという
現象は戦争が起きないことが決定的となった現在特有の現象だといい
ます。つまり冷戦終了後ここ20年くらいの減少であり、従来の経済
学では対応できないとも言われています。
モノの価格があっという間に目減りするデフレ経済下において大事な
ことは、「価格」ではなく「価値」で勝負することです。
つまり、いかにして「価値」を売るかということです。
これはBtoCビジネスであれば“体験を売る”といったことが挙げ
られます。その代表例がディズニーランドです。
BtoBビジネスであれば“顧客代行”です。つまり、本来は顧客が
行うべきことを、こちらが代行するのです。設計部門へのVA/VA
提案、制御盤における海外仕様提案、メンテナンス・改造対応もこれ
にあたるでしょう。

(3)インターネット革命への対応
インターネットの歴史は、たった15年くらいのものです。ホームペ
ージが普及したのもウィンドウズ95が発売されて以降のことです。
生産財業界でも「インターネットなどでウチの商品は売れない」と思
い込んでいる保守的な方が多いですが、インターネットという画期的
なイノベーションがまだ普及しきれない理由は、その歴史の浅さです。
しかし実際にはグーグルは検索キーワード広告だけで4兆円もの売上
をつくり、工場においても技術者が調べごとをする際にはまずインタ
ーネット検索を行います。
この業界はいまだに満足なホームページも持たない会社があり、また
1人1つの電子メールアドレスを持たない会社も多数あります。
片やWebマーケティングを駆使して業績を上げている会社、またク
ラウドを導入して業務効率を上げている会社に二極化しています。
世界の富の二極化は、IT・デジタル技術への対応度を反映したもの
と言われます。今さらながら、IT・インターネットへの対応は企業
にとって不可欠のことなのです。

特に重要なことは(1)市場の縮小 に対応して顧客を増やしていく
ことです。その為には自社の事業プロセスを
a)集客
 b)クロージング
 c)顧客フォロー
に分け、それぞれのプロセスにおける分業を行うことです。
集客はインターネットを中心としたWebマーケティング・クロスメ
ディアを活用します。
↓↓↓町工場における集客プロセス事例

さらにクロージングは新規開拓専任部隊が行います。通常のルートセ
ールスと新規開拓セールスの兼業は中々うまくいきません。新規開拓
専任部隊は、あらゆる生産財企業にとって必須の組織です。

新規口座を獲得し、ある程度安定的に仕事が流れる様になれば、既存
の営業部隊(ルートセールス部隊)の「顧客フォロー」のプロセスと
なります。もちろん営業マンに任せきりではなく、営業PDCAが回
る営業マネジメントの仕組みが必須になります。

上記a)b)c)のプロセスの内、多くの会社がc)しか持っていま
せん。ですから上記3つのプロセス全てを持ち、ビジネスモデルが回
っている生産財企業は、現在の様な不況下でも強いのです。

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