片山和也の生産財マーケティングの視点【素人を戦力化・プロ化するポイント(1)】
最近、私の顧問先でよく読まれている本が「ズブの素人をたった3カ
月で「稼げる営業」にする仕組み」という本です。同書は船井総研常
務取締役の五十棲が執筆した著書ですが、複雑な商品を複雑な商流で
販売する生産財業界においても、計画的な教育を施せば短期間で戦力
化することはできます。
例えば私の関係先の某機械工具商社ですが、この3月決算では昨年対
比130パーセント強の好業績で着地見通しです。同社が新人営業マ
ンに最初実施してもらうことは、売り込みではなくお客様にメリット
を与える、という行為です。具体的には、同社では毎月無料の技術セ
ミナーをエンジニア向けに実施していますが、このセミナーのご案内
でアポイトメントを取り訪問することが挙げられます。
また同社ではエンジニア向けの技術小冊子を、中小部品加工業と組ん
で複数冊制作していますが、こうした技術小冊子を無料で客先に届け
るのです。もちろん電話でアポイントメントをとった上で、です。
最初から売り込むのではなく、最初の5回くらいの訪問は全て情報提
供のみにとどめます。そして5回訪問することができれば、その客先
に対しては間違いなく継続訪問が可能になります。
法人営業のポイントとして、継続訪問が可能な間柄になれば必ず受注
に至り、新規開拓であれば新規口座の開設が可能になるのです。
このような組織的な仕組みもそうですが、素人を戦力化するためには
経営者自身が「ウチの仕事は誰でもできる」という視点で自社の仕事
を認識することが第一歩となります。
例えば船井総研の創業者である船井幸雄は、「経営コンサルタントは
誰でもできる」と言い切っています。それに対して例えば同業コンサ
ルティング会社A社の創業者は「経営コンサルタントは2000人に
1名しかできない」「一流企業の課長クラス以上の経験者でないとで
きない」と言っています。
はたして、結果は創業者が言った通りになっています。船井総研はコ
ンサルティングで売上80億円を超え、経常利益も20億円以上出し
ています。かつ毎年50名以上の新卒社員を採用し、2年で戦力化さ
せる教育システムを構築しています。
対してB社の場合、採用は中途採用が中心でコンサルティング部門の
売上は1/3程度です。経営トップが「コンサルタントは誰でもでき
ない」と考えているから、そうした考え方が結果に反映されているわ
けです。
もちろん、ただ「誰でもできる」と言っている訳ではなく、次の3つ
の考え方を社員には徹底しています。
1)働き癖をつける
言い換えれば「プロ」を目指す、ということです。どのような分野で
も、その道のプロと言われるためには10,000時間のトレーニン
グが必要と言われています。船井総研では新卒の場合は入社後2年間
のローテーション期間を経て正式配属にいたりますが、2年間で10,
000時間の仕事をこなすことを前提に考えています。
つまり1年間5000時間であり、土日もなく働いたとして1日14
時間働くという計算になります。
2)稼ぎ癖をつける
船井総研のライン社員は、年間粗利の額でほぼ全ての評価が決まりま
す。またコピー1枚に至るまで経費管理がされていますから、
売上-経費=粗利
ということで、いかに売上を上げて経費を下げるかという意識は全社
員に徹底されています。また船井総研の場合は管理職であってもマネ
ジメント能力に加えて個人の粗利が要求されます。つまり上司であれ
ば部下よりも高い粗利を上げなければなりません。
3)成功の3条件を守る
成功の3条件とは「素直」「プラス発想」「勉強好き」ということで
す。特に成功するためには、人から好かれるためには「素直」が重要
な要素です。
船井総研の場合は、こうした価値観・考え方の徹底が素人をプロ化す
る上での仕組みの中核になっています。次回のレポートでは、さらに
具体的な仕組みについてお伝えしたいと思います。
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