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片山和也の生産財マーケティングの視点【長崎から全国を攻める町工場】

地域密着で小回りを利かせないと商売ができない、と言われる業態の
代表例が制御盤製造業、いわゆる“盤屋”です。しかし、そうした業
界の常識を破り、業績を伸ばしている町工場があります。

先日の船井総研 制御盤製造業向けセミナーでゲスト講師としてお招
きした、長崎県の株式会社亀山電機です。
 同社 北口社長 の御講演の様子↓↓↓
 

同社は長崎県という地方を拠点に置きながら、関西エリア・関東エリ
アを中心とする全国からの仕事を受注し、業績を伸ばされています。
同社の制御盤部門は2008年度2.5億円の年商だったものが、リ
ーマン・ショックの影響もあって2009年度は1.8億円に。しか
し2010年度は2億円、さらに2011年度は3億円と、リーマ
ン・ショック以前の水準に売上を戻しました。
同社は「海外対応の制御盤」という自社の強みを武器に、全国エリア
で仕事を取っているといいます。

しかし同社の代表取締役 北口 功幸 氏が言われていることは、
「“押し”の新規営業活動は価格競争になりやすい」ということです。
押しているつもりが結局相手のペースとなり、価格が焦点となってし
まうというのです。逆に「ぜひ来てほしい」「話を聞かせて欲しい」
というパターンは、こちらのペースで商談が進み、価格競争に陥りま
せん。そして、そうしたパターンの引合いの100パーセントがホー
ムページ経由だったといます。
生産財業界は取扱金額が大きく、信用・信頼が何よりも求められる業
界だけに、どうしてもホームページというと営業的に低く見られがち
です。北口社長も最初はそうしたお考えだったといいます。しかし見
込み客から「ぜひ来てほしい」「話を聞かせて欲しい」と言われるた
めには、広告を活用せざるを得ません。そうした広告手段の一つがホ
ームページなのです。北口社長はそうしたご自身の経験から、自社ホ
ームページに力を入れた結果、大きな成果を出されています。検索エ
ンジンに「シーメンス PLC」と入力すると、シーメンス社のサイ
トにまじり、亀山電機のサイトがトップページに表示されます。

業績が伸び悩んでいる会社ほど、「ウチの仕事はホームページなんか
じゃあとれない」と言われます。また「ウチの仕事は地域密着じゃな
いと無理だ」「地域、地域にそれぞれ業者がいるからね」と、こうし
た発想です。しかしリーマン・ショック以降、日本の産業構造は変わ
りました。さらに3.11がそれを決定的なものにしました。
今や従来の下請け型企業が、特定の親会社に頼れる時代は終わりまし
た。特定企業の専属下請けではなく、“メーカーズ・メーカー”として
主体的に仕事を取りに行く時代です。
従来の地域密着企業も同様です。大手企業が工場の海外移転を進めて
いるのは事実ですし、マーケットのパイが縮小しているのも事実です。
そうすると当然のことながら、自社の商圏を広げなければ従来の売上
を維持することはできません。

例えば典型的な地域密着構造の業態に、機械工具商社があります。し
かし伸びている機械工具商社の特徴として、1次商圏(自社より50
km圏内)よりも2次商圏(自社より50km圏外)の方が売上は増
加しています。また100km圏外となると営業所が必要ですが、本
社所在地の隣の県にも営業所を展開しているような会社の方が、業績
が良い傾向にあります。

こうした傾向は小売業にもあります。今、業績を伸ばしている店とい
うのは従来よりも大商圏を対象とした店です。例えばインテリア雑貨
の専門店アミングという会社は、大都市型店舗の品揃えを地方のロー
ドサイド店で展開し、成功をおさめています。そして商圏を従来より
も拡大するためには、他社に無い自社の特色を前面に押し出していく
必要があります。この点では、BtoBもBtoCも同じであるとい
えます。

現在は企業業績の二極化が進んでいますが、その背景にはこうした時
代の変化があります。結局大切なことは、時代が変わったという事実
を経営者が受け入れ、自社と自社の社員の意識を変えていくことだと
思います。

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