片山和也の生産財マーケティングの視点【ナンバー2型組織と家臣団型組織】
会社のトップである社長とナンバー2との意識の差は、ナンバー2と
新入社員の差よりも大きい、と言われます。特にこうした意識の差は
非常時の際に顕著に現れます。
事実、リーマン・ショックの世界同時恐慌の際には、多くの会社でナ
ンバー2だと思われていた人物が機能しなくなり、社長自らが営業本
部長を兼ねたような会社が多く見られました。これは中小企業だけで
なく、大手企業にも見られた現象です。
経営の一般論として「ナンバー2をつくれ」「右腕をつくれ」とよく
言われますが、どこまでこの一般論を受け入れるかという問題があり
ます。考えてみれば毎日が非常時であった戦国時代、「家臣団」の存
在はあっても「ナンバー2」というのはあまり聞いたことがありませ
ん。ナンバー2をつくると自らの地位を狙われる可能性があったのか
もしれませんが、それ以上に先ほど述べたような、意識の差に耐えら
れるような人物がなかなかいなかったことも理由かもしれません。
ナンバー2が機能しなくなるのには2つの理由があります。1つはナ
ンバー2自らの能力不足です。人間には器があるといいますが、どれ
だけ上の役職が務まるか、ということからも器の大きさがわかります。
自分の器以上の高い役職に間違ってついてしまった人は、例外なく驕
ります。その結果、役職をかさにきて自分は動かず命令だけを出すよ
うになります。
下の人間は上の人間のことをよく見ていますから、自ら動かずに命令
だけ出すような上司についていくことはありません。表面的には従っ
ても、本心から従っている訳ではありませんから、組織の生産性は落
ちますしモチベーションも低下します。
2つ目の理由は、経営トップのナンバー2に対する過度な期待でしょ
う。心理学に「期待理論」というものがありますが、期待をしてあげ
ないと、期待通りに育たないものです。
しかし経営トップの社員に対する過度な期待、あるいは上司の部下に
対する過度な期待は、得てして上の人間のエゴとも言い換えることが
できます。
今は難しい時代ですから、部下に過度な期待を持つのではなくリーダ
ー自らが具体策を講じていかなければならない時代だと思います。
そうした意味で参考になるのは、戦国時代を代表する武将である武田
信玄の組織マネジメント技術でしょう。これは有名な話ですが、武田
信玄には10人の家臣団がいて、何か重要な決断を下す際には10人
の家臣団を集め、全員の意見を聞いたといいます。その中で自分の意
見と同じ家臣に対して「お前の意見を採用する」と言って当人に実行
させていたといいます。
いずれにせよ、今は非常時であり有事の経営が求められます。無理に
ナンバー2を欲したりつくったりしようとせず、家臣団をつくった上
で実質トップダウン型の経営が求められると思います。
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