片山和也の生産財マーケティングの視点【米国グレートカンパニー視察ツアー(1)】
2011年10月23日~30日のスケジュールにて、船井総研主催
の米国グレートカンパニー視察ツアーに、講師として参加しました。
同ツアーで視察した企業は下記の通りです。
<サービス業>
・グーグル
・フェイスブック
・セールスフォースドットコム
・キンプトンホテル
<製造業>
・ネットアップ
・ブロケイドコミュニケーション
<ネット小売業>
・ザッポス
<小売業>
・ナゲットマーケット
・ホールフーズ
・ノードストローム
・バスプロショップス
・ウォルマート
これら企業を5日間で訪問、サンフランシスコ、シリコンバレー、ラ
スベガスが主な訪問地となりました。
これら企業はいずれもアメリカの格付け機関であるGPTWによる、
「働きがいのある会社」ランキングにおける上位受賞企業です(ウォ
ルマートは除く)。GPTWが格付けするこのランキングは、年に1
回フォーチューンという米国の経済誌上で発表されます。日本でも日
経ビジネスによって働きがいのある会社日本版が年に1回発表されて
います。
今、アメリカでは業績の良い会社の共通点として「社員が働きがいの
ある職場」を最重要ポイントとして挙げています。これらGPTW上
位ランキング企業を11社視察した結果、これら企業における共通点
を下記にまとめてみました。
【視察から発見したグレートカンパニー3つの要件】
要件1:良い商品をつくる(圧倒的一番の商品)
要件2:良いパートナーをつくる
要件3:働きがいのある職場をつくる
各社、まず要件1を満たしています。グーグルやフェイスブックはも
ちろんですが、例えば従来ながらのスーパーマーケットであったとし
ても同様です。
アメリカの小売業界はウォルマートが熾烈な価格競争を仕掛けてきた
結果、倒産したKマートのような大手スーパーを始め、中堅・中小ス
ーパーは軒並み苦戦を強いられているといいます。
その中で唯一業績を伸ばしているのが、惣菜デリ・ワインの品揃えで
強みを持つナゲットマーケットや、オーガニック野菜・健康食品に強
みを持つホールフーズです。
例えばウォルマートの場合は、始めから中・低所得者層をターゲット
とした品揃えになっており、例えばワインも3ドルを中心とした品揃
えになっています。ナゲットマーケットやホールフーズの場合は、高
所得者層をターゲットとしており、ワインも10ドル以上の品揃えと
なっています。
ナゲットマーケットやホールフーズを視察した後にウォルマートを視
察すると一目瞭然ですが、ウォルマートの来店客を見ていると(大変
失礼ながら)肥満体でボロボロの車に乗った、見るからに低所得者が
目に付きます。それに対してナゲットマーケットやホールフーズには
肥満体の来店客はまずいません。アメリカの場合、金持ちはセルフコ
ントロールが徹底しているからです。
もちろん、ウォルマートが売上高35兆円の世界最大の小売業なのに
対し、ナゲットマーケットはサンフランシスコを中心に9店舗を運営
しているにすぎません。しかしナゲットマーケットは大企業をさしお
いて、GPTWで10位以内にランキングしているのです。
ナゲットマーケットは親子・兄弟で働いている社員も多く、極めてロ
イヤリティの高い企業です。また店舗面積あたり従業員の数が少ない
にもかかわらず、従業員の気配りにより行き届いたサービスを提供し
ています。例えばワインを複数本買うと「車まで届けましょうか?」
と聞いてくれます。
こうしたアメリカのグレートカンパニーは、こうした「働きがいのあ
る職場」をつくると同時に、同業他社と競合することのない「独自の
強み」を磨き上げることで、例外なく価格競争を回避しています。
それはグーグル、フェイスブックのようなシリコンバレーの最先端企
業の場合においても、また小売業という旧来からのビジネスにおいて
も共通して言えることなのです。(次回に続く)
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