片山和也の生産財マーケティングの視点【IT不況への対策】
全国的に、IT関連の設備投資に急ブレーキがかかっているようです。
具体的には液晶・ソーラーパネル・電子部品関連の設備投資が急減速
しています。
例えば基板に電子部品を実装する実装機という設備は、ほんの一年前
までは受注に生産が追いつかず、メーカーも設計技術者を繰り返し募
集かけるほど活況でした。ところが今、実装機の仕事はピークの
1/10程度にまで激減しているといいます。
またパナソニックがテレビ事業の不振が原因で4000億円の赤字を
計上し、最新鋭のPDP(プラズマディスプレイ)工場である尼崎第
3工場の稼動を停止しました。また1000人もの従業員を解雇する
といいます。PDPの生産工程には大型のハンドリング設備が必要で
す。こうした関係の下請けセットメーカーはますます経営が厳しくな
るでしょう。
かつてアメリカは、1980年代にテレビ・冷蔵庫といった家電に代
表される耐久消費財の生産から手を引きました。耐久消費財から手を
引いた代わりに、社会インフラ(発電・資源・輸送システム等)・航
空宇宙・医療・ITサービスに事業構造をシフトしたのです。
日本の電機メーカーも、インフラ関連に事業の軸足を移した日立製作
所などは、現在は業績好調です。
天下のパナソニックといえども、こうしたマクロな流れを見誤ると致
命的な打撃を受けるということです。
耐久消費財の生産から手をひいたアメリカも、自動車の生産からは手
をひきませんでした。技術の裾野が広く、その市場規模が圧倒的に大
きいからです。航空宇宙の分野も、自動車産業ほどの裾野の広がりは
ありません。
ITの分野はしばらく厳しい状況が続くと思われますが、自動車や建
機などの産業機械分野は比較的好調です。
昔からIT関連が不況な時は自動車関連が好況で、自動車関連が不況
な時はIT関連が好況という、それぞれの景気の波というものがあり
ました。それがリーマン・ショック前に両方とも好況となり、そして
リーマン・ショック後に両方とも激減したわけです。しかしここにき
て、かつてのような相互に反する動きをとる“景気の波”が生まれた
ようです。従って今は自動車関連、建機などの産業機械関連を攻める
べきでしょう。
またマクロな流れからすると、先進国に残る産業は社会インフラ、航
空宇宙、医療、そしてレクサスのような高級車やハイブリッドのよう
なハイレベルな分野の自動車も国内に残るでしょう。
またアメリカでは1980年代以降、Haas社やHURCO社とい
った新興の工作機械メーカーが生まれ、シェアを伸ばしています。つ
まり工作機械に代表される生産財も、国内に残ると考えていいでしょ
う。事実、制御装置・ロボットでシェアトップのファナックは全数国
内生産です。
スイッチボックスの生産でシェアトップの、ユニークな経営で知られ
る未来工業もオール国内生産です。プラスチック製のスイッチボック
ス等は一見すると付加価値が低く見えますが、こうした生産財は工夫
次第で国内生産でも十分にやっていけるということです。
また何よりも大切なことは、価格競争を回避することができる「信者
客」をつくれるビジネスモデルである、ということです。アップルコ
ンピューターの信者客は数多くいますが、パナソニックのプラズマデ
ィスプレイテレビの信者客は、私が知る限りいません。
もしテレビ事業で収益を上げようとするのであれば、信者客が生まれ
るような画期的なテレビを開発しなければダメでしょう。
前述のHaas社も、ファナックも、未来工業も信者客は存在します。
ですから先進国での生産でもコストが成り立つ訳です。
先般のアメリカ視察ツアーでも、靴のオンライン通販で2000億円
の売上をつくるザッポスは、アマゾンドットコムと比較して販売価格
が2割以上高いのです。その点を質問するとザッポスの社員は「当社
は靴を販売しているのではなく、サービスを販売しているのであって、
ただ安い靴をお求めならアマゾンで買ってください」と即答しました。
ザッポスではザッポスファン、言い換えればザッポスの信者客のこと
を“ザッポニアン”と呼んでいます。いかに多くのザッポニアンをつ
くるかが、ザッポス社員のミッションなわけです。
これからさらに激動の時代になることが予想されます。これからの時
代を生き残れるかどうかのポイントは、信者客づくりにあるのではな
いでしょうか。
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