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片山和也の生産財マーケティングの視点【今回の不況と2008年の不況との違い】

全般的に生産財業界の市況は、今年9月くらいをピークに下降傾向に
あるようです。自動車関連は比較的好調ですが、IT関連は太陽光パ
ネルや液晶を中心に設備投資が冷え込んでいる状態です。
また中国も金融引締めの影響が続いており、建機関連も伸びが止まっ
ている状態です。例えばファナックは、今年4月の段階で中国向けに
毎月8000セットの制御装置を輸出していたそうですが、この11
月は1500セット前後にとどまった様子です。

ある種の見方をすれば、現在の状態は2008年の年末に似ていると
もいえます。2008年9月13日にリーマン・ブラザースが破綻し
て、その年の11月にJIMTOFがありました。その段階ではここ
まで景気が落ち込むとは誰も予想していませんでした。

しかし、2008年と現在との違いは、現在は「来年3月までは仕事
が確保できている」という業界関係者が多いということです。200
8年の年末は、その時点で仕事がありませんでした。そこが2008
年の年末と、今年の年末との違いでしょう。

前回の大恐慌はサブプライムローンが原因でしたが、今回の火種は欧
州危機です。しかし多くの専門家はEUが解体しないと見ています。
今まで戦争を繰り返して疲弊してきた欧州にとって、ヨーロッパ統一
はある種の悲願です。従って、そう簡単にEU以前には戻らないとい
うのが専門家の見解です。私もそう思います。また、前回の大恐慌の
時にはリーマン・ブラザースを破綻させてしまったことが、その引き
金になりましたから、今回は当局も大手金融機関を潰さない方針のよ
うです。船井総研会長の小山政彦も、アメリカの大統領選挙が来年1
1月にあることを考えれば、来年は何とか持ちこたえる1年になるの
ではないかと言っています。

不況対策として行なうべきことは、ネガティブな面をいえば助成金の
活用でしょう。私の関係先で、リーマン・ショックのさいに売上が半
減しながら、2期連続で赤字を回避した会社があります。この会社は
1992年バブル崩壊の際に倒産寸前になったことがあり、その際の
経験から迷わず助成金を申請しまいた。助成金を申請すると人の稼動
も止めなければいけませんし、社会的体裁も悪くなります。しかし残
念ながら生産財業界の場合、ダメな時はどんな営業努力を重ねても短
期的な結果はでません。助成金の活用シミュレーションは今から行な
っておく必要があると思います。

またポジティブな対策を言えば、間違いなく新規開拓です。私の顧問
先の某社は、今回のIT不況でメインの取引先の売上がピークの1/
5以下にまで落ち込みました。しかし新規開拓売上比率(取引をスタ
ートして顧客の売上数字の比率)が10%を超えていた結果、売上全
体は横ばいを保つことができました。
ぜひ毎月、全体の売上に占める新規開拓の売上の比率が何%となって
いるか、モニタリングをしていただきたいと思います。

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